研究課題/領域番号 |
24500801
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田口 素子 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (90360734)
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研究分担者 |
鳥居 俊 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (70164069)
高田 和子 独立行政法人国立健康・栄養研究所, その他部局等, その他 (80202951)
福 典之 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), その他部局等, 研究員 (40392526)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 基礎代謝量 / 身体組成 / 競技特性 / 競技者 |
研究概要 |
アスリートがエネルギーバランスのとれる食事を摂取することは、コンディショニングとパフォーマンスの面から重要である。推定エネルギー必要量は基礎代謝量(BMR)を基準として求める方法が一般的であるが、アスリートのBMRは体格や性別に関係なく、FFMに最も影響を受けることをこれまでに明らかにしてきた。しかし、FFMが同じでも1日のBMRに400kcal程度の個人差が認められる場合があり、アスリートのBMRに影響を及ぼす要因については更なる検討が必要であると考えられる。 そこで本研究では、まだ解明されていないBMRに影響を及ぼす諸要因のうち、身体組成と競技特性に焦点を絞り、アスリートの各臓器・組織量とBMRとの関係を明らかにする。また、被験者を寒冷暴露し、BMRに及ぼす褐色脂肪細胞の影響と競技種目による違いについて検討し、身体組成や競技特性とBMRとの関係に影響する要因を導き出すことを目的とした。 アメリカンフットボール選手11名、水泳選手12名及びボート選手12名を対象とした。身体状況を詳細に把握するために、基礎代謝量測定、血液検査、身体組成測定(DXA法)、MRIによる全身撮像、食事調査、二重標識水法(DLW法)による1日の総エネルギー消費量、最大酸素摂取量測定を行った。数人分の一部のデータのみ継続して測定中であるが、ほぼ順調に必要なデータが得られている。食事調査分析、1日の総エネルギー消費量のデータ解析、臓器量の推定には時間がかかるため、現在これらのデータ解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目である2012年度は、研究代表者が日本女子体育大学から早稲田大学スポーツ科学学術院に異動したため、まず早稲田大学における測定環境の整備に着手し、基礎代謝量測定に適した測定場所の確保と測定手順の確認を行った。測定に必要な物品(布団など)と消耗品類を新たに購入した。 研究開始にあたっては、ヒトゲノム・遺伝子解析倫理委員会に倫理申請書類を提出し、審査及びヒアリングを受けて承認を得るとともに、血液を含むデータの匿名化作業の手順について確認した。 また、各運動部に働きかけ、被験者の開拓を行った。その結果、予定していた競技特性の異なる3つの競技種目のチームより研究協力の同意が得られ、アメリカンフットボール選手11名、水泳選手12名及びボート選手12名を対象に、1年目の測定を実施することができた。チームの都合で測定が延期になったため、残り数名の一部の測定のみがまだ終了していないが、ほぼ予定通りに研究は進んでいる。 現在1年目に測定が終了していない被験者の日程調整中であり、全員のすべての測定終了後、得られたデータの解析を進め、まとめを行う予定である。また、被験者の寒冷暴露実験を開始するための準備及び予備実験を行い、今年度の秋頃から本実験が開始できるよう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
まず、1年目に得られたデータの集計作業と解析作業を進め、学会発表あるいは論文としてまとめる予定である。しかし、MRI画像から臓器量の推定をするために多大な労力がかかるため、解析者を探す予定である。 2年目は被験者の基礎代謝量と遺伝子多型について検討する。遺伝子解析は研究分担者である東京都老人健康長寿医療センター研究所研究員の福が担当するため、血液採取時の匿名化作業とサンプルの受け渡し方法については既に確認済みである。 さらに、1年目と同じ被験者に対して低温暴露を行い、暴露前後での体表温度の変化、代謝率の変化、呼吸交換比の変化があるかどうかから、BMRに及ぼす褐色脂肪細胞が影響する可能性について探る。低温暴露は学内の人工気象室にて実施予定である。先行研究によるとさらに足を氷につけて体温を下げているため、被験者が無理なく実施できる冷却方法について現在検討中である。サーモグラフィーを用いた測定方法については今後予備実験を開始し、測定プロトコールを決定する予定である。1日に1~2名しか測定ができないので、測定時期と測定日程を被験者と個別に調整し、秋頃から本実験を開始する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1年目に撮像したMRI画像から臓器量を解析するのに多大な時間を要するため、分析を依頼できる人を探し、謝金を支払って作業を進めてもらう予定である。 また、今年度は1年目と同じ被験者の基礎代謝量と遺伝子多型について検討するとともに、低温暴露前後での体表温度の変化、代謝率の変化、呼吸交換比の変化について測定予定である。したがって、遺伝子解析の分担者である東京都老人健康長寿医療センター研究所老人健康長寿医療センター研究所研究員の福へ分担金を渡す。被験者に対しても1年ごとに謝金を渡すことになっており、測定験者謝金も使用予定である。また、アイスボックス、氷、タオル類など体温冷却に必要な物品・消耗品等を新たに購入予定である。
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