研究課題/領域番号 |
24500803
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
祐伯 敦史 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20399067)
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研究分担者 |
栗原 俊之 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助手 (10454076)
浜岡 隆文 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70266518)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
【目的】“加齢に伴う認知機能低下を予防するための方策を探す”研究プロジェクト計3年の初年度にあたる。本年度の研究目的は、2年次以降に行う介入のための基礎的データ採取として、若年健常者および脳疾患を有しない健常高齢者の脳機能を包括的に評価し、加齢に伴う脳機能の変化を検出する。 【実施】20~34歳の健常者10名、および60~84歳の高齢者20名を対象とした脳機能検査を実施した。 【得られた結果】1)脳の器質的評価:1.5Tの磁気共鳴画像法(MRI)を用いて撮像した脳Axial画像から、頭蓋骨内容積に占める脳実質の割合、および脳室最大部位での脳室の割合を測定し、脳萎縮指数を算出した。その結果、年齢と脳萎縮指数の間には有意な負の相関関係が認められ、加齢に伴う明らかな脳萎縮が観察された。 2) 脳内エネルギー代謝物質の評価:1.5Tの磁気共鳴スペクトル法(1H-MRS)を用いて、クレアチン、NAA(N-アスパラギン酸)、コリン含有物等の脳内エネルギー代謝中間産物を評価した。その結果、加齢に伴い、クレアチンに対するNAAの比およびコリン含有物の比は、有意な減少を示した。加齢に伴う脳内の重要な代謝産物濃度が減少していく模様を検出した。3) 認知機能評価:音読時の単語記憶能を評価したワーキングメモリー検査、15単語を2回記憶する短期記憶検査、および30単語を記憶する長期記憶検査を実施した。その結果、加齢に伴いすべての検査値は低下を示し、認知機能の明らかな低下を示した。また、この認知機能の検査値と脳萎縮指数の間には、統計学上有意な相関関係を認めた。 【意義】加齢に伴う脳の萎縮、脳内エネルギー代謝産物濃度の低下、および認知機能低下をクリアに検出すると同時に、これらの指標の間に有意な相関関係があることを認めた。2年次以降、加齢に伴う認知機能低下を予防する方策を探る上での貴重なデータを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由)本年度の目的は、2年次以降に行う介入のための基礎的データ採取として、若年健常者および脳疾患を有しない健常高齢者の脳機能を包括的に評価し、加齢に伴う脳機能の変化を検出することにあった。研究申請書では、高齢者15名および若年健常者15名を対象に測定を実施する計画を立案した。実際には、これまで既に高齢者20名を動員し、すべての被験者の測定を終了している。動員のよりしやすい若年者については、これまで10名の測定が終了し、今後5名の測定を早急に実施する予定でいる。測定項目については、申請書に記載した項目をほぼ網羅したと同時に、上述の通り、測定値の妥当性が(加齢に伴う有意な変化により)間接的に証明されている。以上、当初の目的に対して本年度の進捗状況はほぼ合致しており、このため概ね順調に進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、“高齢者の脳機能と脳エネルギー代謝に及ぼす運動の効果”について、申請書の研究計画に則り実施する予定である。具体的には、高齢者の認知機能改善に適した運動もしくは身体活動度上昇の方法を見出すことを目指す。また、平成26年度は、“高齢者の脳機能と脳エネルギー代謝に及ぼすクレアチン摂取の効果、およびクレアチン摂取と運動の相乗効果”について、申請書の研究計画に則って実施する予定でいる。研究計画の大幅な変更予定は、今のところない。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当無し
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