本研究の目的は、絶食によって生じる筋萎縮がなぜ速筋優位に進行するのかを明らかにすることであった。骨格筋の活動レベルの違いに着目し、①共働筋切除による代償性過負荷モデル、②除神経による神経活動低下モデル、③ギプス固定による不活動モデルを用いて検討した。代償性過負荷を実施した速筋である足底筋では、絶食によって生じる筋萎縮の進行速度が低下した。除神経およびギプス固定モデルでは、遅筋であるヒラメ筋の絶食に伴う萎縮が顕著となった。このような結果は、筋の収縮特性や機械的負荷の頻度が絶食時に起こる筋タイプ特異的な萎縮の進行速度に影響を与えていること示唆するものであった。
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