研究課題/領域番号 |
24500805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
中野 裕史 中村学園大学, 教育学部, 准教授 (60301678)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 運動 / 空間記憶 / 記憶消去 / モリス水迷路 |
研究概要 |
記憶は記銘,保持,想起の3つの過程を経て,想起に伴う再固定化または消去の過程に至る.走運動が記憶に及ぼす影響を検討した先行研究の多くは,記憶獲得前の走運動が記憶の獲得過程に及ぼす影響を検討したものであり,記憶獲得後の走運動が記憶の消去過程に及ぼす影響は明らかにされていない. 本研究では,乳仔期に甲状腺ホルモンを阻害して記憶過程を破綻させたラットと正常のラットの比較により,空間記憶獲得後の走運動がBDNF及びその受容体発現の増加と神経新生とともに,空間記憶の消去を惹起するかどうかを検証することを目的とする. 本年度は,正常ラットにおいて,嫌悪刺激を使用するモリス水迷路課題によって獲得された空間記憶が運動によって保持されるのか,または消去されるのか検討した. モリス水迷路課題:Wistar系雄性ラットを実験に用いた.水と飼料は自由摂取とした.予備飼育の後,モリス水迷路課題を1日当たり4試行,5日間行った.各試行は4ヵ所のランドマークのいずれかよりスタートし,プラットフォーム上に静止した場合を成功試技とした.試行時間は最大60秒間とした.その後,運動群(EXE)と統制群(CON)に分類し,EXEにはトレッドミルによる走運動トレーニング(60分/日,5日/週)を2週間課した.1週目はスピードを13m/分まで漸増し,2週目は15m/分とした.トレーニング終了後,モリス水迷路課題を4試行実施した. 空間記憶獲得後の走運動により,CON群は空間記憶を保持していたが,EXE群は逃避潜時と遊泳距離の延長がみられ,空間記憶の保持が十分ではなかった.嫌悪刺激によって獲得された空間記憶は走運動により消去されて不安定化するのかもしれない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常ラットにおける行動解析が終了し,現在,摘出組織の生化学的解析中である.
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今後の研究の推進方策 |
1.甲状腺ホルモンを阻害して記憶過程を破綻させたラット(PTUラット)において,モリス水迷路課題を実施し,摘出組織の解析を行う. 2.正常ラット,PTUラットにおいて8方向放射状迷路課題を実施し,摘出組織の解析を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成21~23年度の科研費課題で購入した試薬の残があったため,24年度の試薬購入予算に残額があった. マイクロプレートリーダーの機種変更により購入価格が低下し,残額があった. 次年度,実験動物,行動解析装置,試薬,ガラス器具,プラスチック製品等を購入予定である.
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