研究課題/領域番号 |
24500806
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研究機関 | 至学館大学短期大学部 |
研究代表者 |
西沢 富江 至学館大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (30283980)
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研究分担者 |
春日 規克 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60152659)
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キーワード | 神経筋接合部 / 脊髄運動神経細胞 / 筋原性調節 / 筋活動量 / 加齢 |
研究概要 |
本研究では、老齢期の運動は神経筋再接合部加齢変化を抑制し筋力低下を抑制するか否かを「筋活動が何らかの情報を神経に発信→神経筋接合部、運動神経細胞の退行変化抑制→運動単位の維持→筋力低下抑制」のような筋原性調節が起こることを仮説とし解明することを目的とする。筋から神経への逆行性輸送の証明を脊髄内運動神経細胞数の変化からとらえ、神経筋の情報伝達部である神経筋接合部形態に如何なる影響を与えるか検討する。①筋活動量の増減②一過性除神経(神経原性、筋原性)③加齢の条件下にて実験を行う. 加えて、神経筋接合部の形態変化時に働く神経栄養因子、神経成長因子の細胞内情報伝達機構の変化から機序を明らかにする。 実験方法には、運動神経細胞の標識にはトレーサーとしてHRPをEDLに注入しTMB染色とNR染色を行った。神経筋接合部形態観察ではChE染色と鍍銀染色を行った。 不活動に伴う神経筋接合部(NMJ) 形態変化に関する検討を行なった。包帯式ギプスを用いて後脚の膝関節と足関節を固定し不活動とした.ギプス固定2週間後に筋萎縮が観察されが,NMJでの運動終板面積/神経終末面積の変化は観察されなかった.ギプス固定に伴う不活動は筋萎縮を引き起こすが、NMJ形態の有意な変化は認められなかった。 筋活動量の減少-増加モデルとして除神経坐骨神経凍結法を行った。筋発揮張力は直接刺激張力は神経凍結3日後に低下し、21日後に回復した。間接刺激張力は神経凍結3日後、7日後は張力が発揮されず、神経支配比は神経凍結3日後、7日後には0を示し神経情報伝達遮断が確認された。NMJでは、神経終末面積の衰退が観察された。神経筋の接合が観察されない筋では、発揮張力が低下し、その後神経筋再接合とともに回復した。筋機能はNMJ形態に影響を受けることが示唆された。一方、運動神経細胞面積は2週間程度の不活動では影響を受けないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度に行う予定の加齢期実験は一部先行して行った。加齢期+トレーニング実験においてはトレーニングを既に始めている。 24年度、25年度にサンプリングした骨格筋においては神経筋接合部の染色実験は順調である。脊髄運動神経細胞の染色も順調である。 一方、mRNA分析ではプライマー設計が妥当でないため、何度も実験を重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
老化に伴う神経栄養因子およびMHCのmRNAの量的変化と筋の機能特性、神経筋接合部の形態変化ついて検討する。脊髄運動神経細胞の面積、数も加えて検討する。 加齢期実験:実験動物は、生後6ヶ月齢、12ヶ月齢、18ヶ月齢、24ヶ月齢のFischer344系雄ラットを20匹用いる。NMJ、運動神経細胞の形態変化とmRNAの定量を行なう。 加齢期+トレーニング実験:実験動物は、生後6ヶ月齢、12ヶ月齢、18ヶ月齢のFischer系雄ラットを15匹用いる。実験動物には回転式自発走トレーニングを行わせる。トレーニング期間は、各月齢において12週間行う。測定項目は加齢期実験と同様とする。
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