保健体育科教員や養護教諭が、学習指導要領に基づき中学校や高等学校保健体育科に盛り込まれている医薬品に関する指導を実施するに当たり、教員が抱く医薬品に対する意識を調査した。その結果、副作用などの心配から医薬品使用に対して抵抗感があること、医薬品の授業に当たって知識、情報や資料等が不足している点などが明らかとなった。このため、課題解消に役立つ教員向けのパンフレットを作成・配布するとともに、その内容について検証を進めた。また、デジタル絵本の手法を用いた教材を開発しホームページにてアップしている。 中学校、高等学校において医薬品に関する指導が円滑に進められるよう、教育プログラムの開発を進め学校現場での実践を積み重ねた。なお、プログラムにおいては、医薬品の空箱、説明文書などを活用するとともにブレインストーミングを活用したアクティブラーニング、ゲストティーチャーとしての学校薬剤師による実験などを取り入れ、理解が深まるよう配慮した。これらのプログラム実施に当たっては生徒の意識や理解の程度等について事前事後の評価を実施した。成果については論文として発表済みである。 一方、医薬品に関する指導は保健学習ばかりでなく、特別活動における保健指導も重要な活動である。本研究のねらいである「セルフメディケーションの担い手」を育成するという趣旨は、生徒が主体的に医薬品を正しく理解し実生活で実践することで達成できるものと考えられる。このため、生徒学校保健委員会を活用し、生徒が学校薬剤師等の協力を得ながら医薬品に関する正しい理解を深めるよう実践化を図った。
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