研究課題/領域番号 |
24500819
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
入江 正洋 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (00248593)
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研究分担者 |
玉江 和義 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (80341527)
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キーワード | パワー・ハラスメント / メンタルヘルス / チェックリスト |
研究概要 |
近年、労働者のメンタルヘルスにおいて、職場でのいじめや嫌がらせが問題視されている。なかでも、パワー・ハラスメント(以下パワハラと略に関しては、明確な指針がなく、パワハラか否かの判断は多くの場合容易ではない。そのため、パワハラ対策に役立つツールを開発し、その有用性に関する調査を行い、さらにパワハラ対策への応用を検討することを目的として今回の研究を企画・実施している。 平成24年度は、931名の労働者に対する予備的な質問紙調査結果や、パワハラに関する文献、書籍、DVDなどの資料、ならびにパワハラと結審された判例における具体的な言動なども参考にして、37項目からなるパワハラチェックリストを試作した。 平成25年度では、その試作チェックリストを基にして、質問票の標準化作業として必要な妥当性と信頼性に関する検討を行った。まず、妥当性に関しては、新たに470名の労働者を対象として、いじめや嫌がらせに関する海外の代表的な質問票であるNegative Acts Questionnaireの日本語版(最近発表された)と試作チェックリストとの基準関連妥当性(併存的妥当性)の確認作業を行った。次に、信頼性に関しては、166名の労働者に対して、約1ヶ月程度の間隔をおいて再テスト法を実施し、安定した信頼性を確認している。このように、試作チェックリストの妥当性と信頼性が認められたが、信頼性の検討に関する対象者が少ないため、現在も調査を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試作チェックリストの信頼性に関する検討を、現在も症例を増やして行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
作成したパワハラチェックリストを用いた企業内のパワハラの実態調査を実施する。具体的には、チェックリストによるパワハラ被害と職場の雰囲気、ソーシャルキャピタル、ワークエンゲイジメント、抑うつ尺度などとの関係について検討する。その結果を踏まえて、管理職を対象としたパワハラやコミュニケーションに関する教育を行い、管理職への教育効果と職場環境や一般職労働者のメンタルヘルスなどの改善度との関係について検討する予定である。
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