研究課題/領域番号 |
24500819
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
入江 正洋 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (00248593)
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研究分担者 |
玉江 和義 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (80341527) [辞退]
津田 彰 久留米大学, 文学部, 教授 (40150817)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | パワーハラスメント / チェックリスト / メンタルヘルス / 職場 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究では、平成25年度に試作したパワーハラスメントのチェックリストの統計解析が不十分であったため、再度解析を行った。 まず、複数の企業の労働者460名を対象として、パワーハラスメントを反映すると思われる36項目を用いて、信頼性や妥当性を再検討した。その結果、確証的因子分析によって、20項目2因子の下位尺度構造モデルの妥当性を認めた。内的一貫信頼性に問題はなく、いじめや嫌がらせに関する海外の代表的な質問票であるNegative Acts Questionnaire-Revised日本語版との併存的妥当性も確認された。さらに、本チェックリストを用いて、過去1ヶ月間にパワーハラスメント行為を受けた者と受けなかった者とで、抑うつに関するスクリーニングテストであるK6得点を比較すると、前者は後者よりも有意に抑うつ度が高く、判別妥当性が認められた。これより、今回開発したチェックリストは、パワーハラスメントの判断や対策に有用となることが示された。 次に、事務系企業の社員835名を対象として、今回のチェックリストを含むメンタルヘルスに関する質問紙調査を行った。その結果、パワーハラスメント経験は抑うつ度だけでなく、職場の雰囲気やソーシャルキャピタル、ワークエンゲージメントとも有意に関係していることが認められ、今回のパワーハラスメントのチェックリストは、職場メンタルヘルスの有益な指標となることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
統計解析などの面で、パワーハラスメントチェックリストの試作作業が遅れたため。そうした理由に基づいて、平成26年度から共同研究者の変更を行った。
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今後の研究の推進方策 |
作成したパワーハラスメントチェックリストを用いた、事務系企業社員の縦断調査を行う。具体的には、管理職および一般職を対象として、パワーハラスメント防止研修ならびに啓発資料配布を行い、前年度と同様のメンタルヘルス質問紙調査を実施する。そして、パワーハラスメント防止に関する管理職への教育効果や、一般社員のメンタルヘルスの改善効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画、特に共同研究者の統計解析が遅れたことなどによって共同研究者の使用額が少なくなり、学会発表や論文作成費用などの費用も削減されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
新たな共同研究者の研究費を増額し、研究の遅れを取り戻す予定である。また、次年度使用額を管理職研修資料費や学会発表費などに充てることを考えている。
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