ロシア語原文の論文検索では、本研究目的のメタ解析を行うためのデータが決定的に不足していることが判明し、チェルノブイリ被災エリアにおける放射能汚染地域での安全な生活に関する様々な資料の収集・翻訳・日本における成果の還元に研究活動が切り替えられている(24-25年度)。 放射線の影響に関する科学的な研究結果がいまだに住民に正しく理解されていないことにより心理的不安がなかなか解消されないという現状が、長崎大学福島県川内村復興推進拠点を中心とする調査でも明らかになってきている。 検索した論文の中では、チェルノブイリ事故による被災地からの移住者や被災地域住民の間では、健康満足度の指標が低い、現状・将来の観測が悲観的である、環境への適応力の低下、感情の不安定および対人関係の複雑化などといった傾向が見られることを指摘しているものもある。 「放射線のABC」「放射能汚染地域において知っておくべきこと」「キノコ採取の注意事項」「チェルノブイリ プラスとマイナス」「郷土を再生しましょう」等の被災地域住民向けの資料については、その内容を長崎大学のもつ福島県川内村の復興推進拠点を通じた住民の不安解消リスクコミュニケーション活動に継続的に提供した他、福島県住民のための小冊子「放射線・放射性物質Q&A」にも活用した。
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