福島第一原発事故後、放射線の健康影響に関する錯綜した情報、行政・専門家への不信などを背景に周辺地域住民のメンタルヘルスの悪化が予見されていた。 本研究では史上最大の1986年のチェルノブイリ原発事故を経験したベラルーシ・ウクライナの保健・研究・住民支援の機関と面談し、情報・資料を収集し、分析した。 その結果、現地では放射能の健康影響より社会心理的不安の重大性が認識されており、放射能汚染地域においても、身を守るための正しい知識や犠牲者シンドロームなどの無力感に陥らずにメンタルヘルスを維持する指針となる「放射線文化」を普及させることが重要視されていることが確認された。
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