研究課題/領域番号 |
24500827
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
松浦 義昌 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 准教授 (60173796)
|
研究分担者 |
出村 慎一 金沢大学, 人間科学系, 教授 (20155485)
清水 教永 大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30079123)
田中 良晴 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (60236651)
高根 雅啓 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (90285312)
長澤 吉則 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (40299780)
|
キーワード | 介護労働者 / ストレス / 生活習慣 / 唾液 / 生理的ストレス / 活性酸素 / 抗酸化力 |
研究概要 |
平成25年度は、平成24年度に行った調査の対象者をさらに増やし、最終的に486名の介護労働者を対象に以下の4点について検討した。1.介護資格および経験の違いが介護者の生活習慣とストレスに及ぼす影響 介護福祉士に比べホームヘルパー有資格者の方がストレスを感じている割合が有意(p<0.05)に高かった。経験年数では、3年未満の者に比べ5年以上の方がストレスを感じている割合が有意(p<0.05)に高かった。基本的な生活習慣である睡眠時間と朝食摂取状況の有無では、いずれも有意差はなかった。 2.介護労働者のストレス要因の性差、年代差および生活習慣との関連 介護労働者のストレス要因(身体面、精神面、賃金面、利用者面)に性差はなかった。身体面と精神面は、60代は他の年代に比べストレスの程度が有意に低かった。賃金面は、いずれの年代も過半数以上の者がストレスを有していた(57.9~66.2%)。介護経験年数の違いに差はなかった。各ストレス要因と各生活習慣(睡眠時間、朝食摂取、飲酒、喫煙)との関係はなかった。 3.介護労働者24名と一般労働者21名を対象に、健康調査「健康度・生活習慣診断検査:(DIHAL.2)(株)トーヨーフィジカル」と体力および形態測定「身長、体重、握力、背筋力、長座体前屈:武井機器工業社製」を行い検討した。 4. 介護労働者10名と一般労働者20名を対象に、1日8回の唾液を採取し、唾液成分のs-IgA/total proteinとα-amylase活性の分析を行い、1日の生理的ストレスレベルを検討した。また、活性酸素および抗酸化力の測定(FRAS4:ウイスマー社製)を行い、酸化ストレスと抗酸化レベルについて検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画は、介護労働者10名(男性1名、女性9名:平均年齢45.4±10.6歳)と一般労働者20名(男性6名、女性14名:平均年齢54.1±6.3歳)に対して、24年度の研究計画4(健康調査「健康度・生活習慣診断検査」と体力および形態測定「身長、体重、握力、背筋力、長座体前屈」)、研究計画5(1日8回:起床時、朝食後、昼食前、昼食後、15時、夕食前、夕食後、就寝時の唾液採取)、研究計画6(活性酸素と抗酸化力の測定)について継続して行った。健康調査および唾液、活性酸素と抗酸化力の現在までの結果は、以下に示す通りであった。 1.健康調査における健康度の合計は(介護労働者36.4±5.7、一般労働者37.6±10.1)で、いずれも各値は標準よりもやや低く、両群に差はなかった。運動における健康度の合計は、(介護労働者22.8±6.1、一般労働者23.6±7.1)で、いずれも各値は標準よりもやや低く、両群に差はなかった。食事における各健康度の合計は、(介護労働者38.5±8.1、一般労働者38.6±11.3)で、いずれも各値は標準よりもやや低く、両群に差はなかった。休養における健康度の合計は、(介護労働者38.8±8.2、一般労働者43.8±13.01)で、いずれも各値は標準値と同様あるいはやや低く、一般労働者の方が高かった。FRAS4による酸化ストレスレベルは、(介護労働者466.0±142.8、一般労働者433.3±128.8)、抗酸化力は、(介護労働者2090.9±134.3、一般労働者2060.8±184.3)であった。酸化ストレスレベルは、両群ともに強度の酸化ストレス状態を示し、抗酸化力は両群ともにボーダーラインであった。 唾液中のs-IgA/total proteinとαーamylase活性からみた一日の生理的ストレスは、起床時のs-IgA/total proteinの平均値は、両群ともにいずれも他の測定時より高かった。αーamylase活性は、両群ともいずれも起床時、朝食前および就寝時は、他の測定時に比べ低かった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、26年度の研究計画に従い、平成24年度および平成25年度における調査や各種測定結果データに基づき、介護労働者の生活習慣とストレスに関する考察を担当者全員で行う。また、25年度に測定した各種のデータについては、4つの関係学会に発表する予定である。4つの学会発表データをもとに、介護労働者の健康的な生活習慣とストレスマネジメントについて、総合的に考察し、論文としてまとめる予定である。
|