研究課題
近年、児童養護施設数が増加している中、児童養護施設入所児童に対する施設内外からの積極的な養護・生活支援、地域社会との有機的な連携が、より一層期待されている。一方、わが国は世界に例をみない速さで人口の高齢化が進んでおり、高齢者の心身の健康をいかにして保ち増進させるかが課題となっている。健康寿命の伸びを目的として、要介護化を防ぐ施策が進められている一方で、元気で活発な生活を送る高齢者が数多くみられ、高齢者が生きがいを持って働き、活動できる場の創造がますます重要視されている。著者らは社会的に養護を必要とする児童養護施設入所児童へのかかわり、および社会において自らの能力を最大限に発揮したいと願う高齢者が増えている中、その参加の場・自己実現の場を創り出すといった両方の課題に対するアプローチとして、入所児童と高齢者の間の世代間交流を企画し、その交流効果について調査研究を実施した。3年間にわたる調査研究により、高齢者による自然体験活動支援プログラムの実施が、児童養護施設入所児童の高齢者イメージを向上させることがわかった。両者に対するインタビュー結果からも、プログラム実施の有効性が示唆された。今後、高齢者による入所児童に対する定期的な学習支援活動等を予定しており、高齢者と児童との間における種々のプログラムの交流効果について明らかにしていきたいと考える。入所児童の養育事情、および心身の状態に最大限の配慮をはらいつつ、自己効力感や精神的健康度、対人関係といった心理社会的側面に関する検討もおこない、高齢者ボランティアによる養護支援が入所児童の心身の機能、生活の向上に及ぼす影響について研究を進めていきたい。児童のより良い生活環境の創出にあたり、地域住民や地域社会が果たす役割はますます大きくなると考えられる。社会的養護の質と量の拡充と社会的関心の高まりが、より一層求められる。
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日本世代間交流学会誌
巻: 4 ページ: 103-110