研究課題/領域番号 |
24500832
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
田中 千晶 桜美林大学, 総合科学系, 准教授 (40369616)
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研究分担者 |
奥田 昌之 山口大学, 理工学研究科, 教授 (50274171)
井上 茂 東京医科大学, 医学部, 教授 (00349466)
田中 茂穂 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 基礎栄養研究部, 部長 (50251426)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 身体活動量 / 子ども / 居住地域環境 |
研究概要 |
日本人小学生の日常における身体活動量の変動要因を明らかにするために,平成24年度は、小学生および成人を対象に,3軸加速度計を用いた活動評価の最適な単位時間(epoch length) 毎の身体活動量と健康指標との相関から,最適なepoch lengthを決定することを目的とした. 申請者らが各年代で妥当性の検討を行った3軸加速度計(Active style Pro HJA-350IT,オムロンヘルスケア)を用いて,epoch lengthをこの加速度計で設定可能な60秒と10秒とし,1週間にわたる身体活動量を評価した.そして,小学生と成人それぞれで,健康指標との相関から検討した. 小学生および成人において,60秒間値と10秒間値における各身体活動量の関係について単相関係数を用いて検討した結果,何れの年代においても,男女共にいずれも強かった。 肥満の指標としてのBody Mass Indexと各身体活動量の指標との関係を,偏相関係数を用いて検討した.年齢を調整して検討した結果,小学生では,男子の10秒間値における高強度の走行時においてのみ,有意な負の相関が見られたものの,その関係は非常に弱かった.一方,成人においては,男女共に,いくつかの身体活動量の指標と有意な負の相関が見られたが,その関係は弱く,かつ,epoch lengthによる違いはほとんどなかった。 さらに,小学生では体力との関連を検討したが,中高強度あるいは高強度活動において,女子では,筋持久力,全身持久力,敏捷性,瞬発力および投力,男子では,筋持久力,全身持久力,走力,瞬発力および投力などとの間に,弱い相関が見られた.Epoch lengthによる違いは男女とも,ほとんどなかったものの,男女共に,歩・走行以外の中高度活動時間と筋持久力は,60秒間値と10秒間値の間に差が見られ,60秒間値とのみ有意な関係が見られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,小学生および成人を対象に,3軸加速度計を用いた活動評価の単位時間(epoch length)毎の身体活動量と健康指標との相関から,最適なepoch lengthを決定することを目的とした. 対象者募集および調査の実施について,既にこれまでの調査実績があったため,調査先の協力を得ながら何れも非常にスムーズに行えた.また、身体活動量の分析については,我々の研究グループにより小学生および成人を対象にキャリブレーションスタディを行った3軸加速度計を用いたため,問題なく行えたことによる. さらに,解析についても,公衆衛生学の専門家により,適切な分析が行えた.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,男女小学生の日常の身体活動量を平成24年度と同様の3軸加速度計(Active style Pro)測定し,居住地域環境との関係を明らかにする. 日常の身体活動量調査:首都圏,近畿圏および地方都市在住の小学1~6年生を対象に, 3軸加速度計を対象者の腰部に装着させ,1週間にわたる日常の身体活動量を評価する. 居住地域環境の調査:近隣環境に関する対象者の認知を評価するにあたり,本研究では,対象を小学校1年生からとしたため,本人とその保護者が一緒に回答させる.そのため,近隣の環境要因の調査は,Inoue et al. (2009)にて,成人を対象に,信頼性が確認されている国際標準化身体活動質問紙環境尺度の日本語版(International Physical Activity Questionnaire Environmental Module)を用いる。さらに,Sallis and Owen (1999), Sallis et al. (2000) のレビューおよび2009年までに報告された子どもの身体活動量と環境要因に関するレビューをレビューしたde Vet et al. (2011)の報告,そして我々が報告した日本人幼児独特の調査結果(2011)を参考に抽出した環境に関する質問紙調査を行う. 体格・体型評価:小学生と保護者の身長および体重の測定を行う. 分析:上記の変数を用いて,小学生の身体活動量に関する指標と居住地域環境との関係を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に用いた加速度計で不具合のあるものや,装着用のベルトの劣化があるため,平成25年度は,消耗品費として,加速度計,装着用ベルト,電池を計上した.また,平成25年度は首都圏,近畿圏および地方都市における,各々の調査地で使用する身長計と体重計は,現有のものを使用するため,相互に貸与できるよう,運搬費を計上した.各調査地にて必要な物品の運搬費についても計上した.対象者募集に必要なチラシおよび質問紙作成のため,印刷費を計上する.各調査地での加速度計装着や形態計測の補助や資料整理の補助として,研究補助者への謝金を計上した.また,調査地での調査の打ち合わせや調査のための出張,学会で研究成果を公表するために必要な出張経費,および誌上発表するための経費として,英語論文校閲費を予算に計上した.各項目の金額については,これまでに行った類似の研究で必要となった経費を基準として算定した.
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