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2014 年度 実施状況報告書

母娘の世代間妊孕性に関与するリスク因子の探究と妊孕性支援教育プログラムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 24500833
研究機関福井大学

研究代表者

上澤 悦子  福井大学, 医学部, 教授 (10317068)

研究分担者 中山 美由紀  大阪府立大学, 看護学部, 教授 (70327451)
川内 博人  北里大学, 医学部, 講師 (90152917)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードAMH / AMHnormograms / 月経異常 / 甲状腺疾患 / 生活習慣 / コーヒー / 肥満 / 世代間妊孕性
研究実績の概要

不妊治療中の日本人女性2356名(明らかなPCOSを除外)、平均年齢36.45歳(SD4.8)を対象に、日本人女性の卵巣予備能の指標であるAMHの年齢変化、生活習慣および母と娘の世代間妊孕性の関連を検討した。
その結果、日本人女性の年齢変化とAMH normogramsでは、AMHレベル3パーセンタイルから50パーセンタイルまでの低値から中間値レベルの女性は、AMHレベル75パーセンタイル以上の高値レベルの女性に比較し、年齢変化は緩やかであり、高値レベルの女性は急激に下降する傾向にあった。月経異常とAMHの関連では子宮筋腫核出術既往群、子宮頚がん既往群は非既往群に比較し、有意にAMHは低値であった(p<.05)。一般既往歴とAMHとの関連では、甲状腺疾患既往群は非既往群に比較し明らかに低値であった(p<.05)。小児がん・乳がん既往群、化学療法・放射線療法既往群は、非既往群に比較し、AMHは低値傾向であった(p=.092)。
AMHと生活習慣では、コーヒー毎日習慣群は非習慣群に比較し、明らかに低値だった(p=.000)。コーヒー毎日習慣あり群のうち、一日3カップ以上コーヒー飲料群は、AMHが有意に低値であった(p=.009)。BMI>25の肥満群はAMH低値傾向にあった。
母娘間の世代間妊孕性因子は、母親が45歳前の早期閉経群の娘のAMHは低い傾向であったが、明らかな差はなかった。女性自身が2500g以下の低出生体重児出生群では、正常出生体重児群と比較し、有意に低出生体重児出生群が低値であった(p<.001)。妊娠32週以前の早産群と非早産群の差は認めなかった。
これらの結果、妊孕能のリスク因子が明らかになり、これらを妊孕性支援健康教育プログラムとして普及させていく予定である。また、本結果は米国生殖医学会(ASRM)や日本生殖医学会で発表し、高い評価を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的である世代間妊孕性のリスク因子はおおむね明らかにできた。約7~8年継続して実施している妊孕性支援健康教育プログラムに、これら明らかになった因子を取り入れ、提言できる状況は整っている。
しかし、対象者の卵巣予備能を客観的に測定する必要性があると考えたために、本邦の6か所の不妊治療施設の協力を得て、不妊治療中の女性のAMHデータ、月経歴、生活習慣や母娘の世代間妊孕性の調査票によるデータを得ることで、リスク因子を確定した。しかし、これらの結果は、不妊治療中という特定の対象者からのデータ分析であるという限界があるため、最終年度では健康な女性を対象に、同様な分析を行う必要があると考えている。

今後の研究の推進方策

A施設の約1000名の健康な生殖年齢にある女性職員を対象に、春の定期検診時にAMH採血と月経歴、生活習慣や母娘の世代間妊孕性の調査票によるデータを得る予定である。
それらの分析結果を追加することで、本邦女性の卵巣予備能に関連する明確なリスク因子が明らかになり、より現状の生活習慣を反映した妊孕性支援健康教育プログラムが再構築できるものとなると考える。

次年度使用額が生じた理由

次年度は最終年度であるが、調査対象を変更しての調査と分析を予定している。特にAMH分析費用が60万円から80万円を必要とすることから、次年度への繰り越しを計画的に行った。

次年度使用額の使用計画

調査票の印刷費が約10万円、AMHデータ分析費用は約200~300名分としてが60万円~80万円、そのほか学会参加費・交通費が20万円、論文翻訳料10万円と見積もっている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] Correlation between Ovarian Reserve in Adult Female in Japan and Gestational Age and Birth Weight2015

    • 著者名/発表者名
      Etsuko Kamisawa
    • 学会等名
      ICM
    • 発表場所
      横浜市 パシフィコ横浜
    • 年月日
      2015-07-20 – 2015-07-22
  • [学会発表] Age-Related Normograms of AMH Level in Infertile Women in Japan2015

    • 著者名/発表者名
      Etsuko Kamisawa
    • 学会等名
      IFFS/JSRM Internasyonal Meeting 2015
    • 発表場所
      横浜市 パシフィコ横浜
    • 年月日
      2015-04-26 – 2015-04-29
  • [学会発表] AMHに関連する生活習慣と母娘の世代間妊孕性2014

    • 著者名/発表者名
      上澤悦子
    • 学会等名
      日本生殖医学会
    • 発表場所
      東京都 京王プラザホテル
    • 年月日
      2014-12-04 – 2014-12-05
  • [学会発表] THE EFFECT OF LIFESTYLE FACTORS ON ANTI-MULLERIAN HORMONE (AMH) LEVELS IN INFERTILE2014

    • 著者名/発表者名
      Miyuki Nakayama、Etsuko Kamisawa
    • 学会等名
      American Society for Reproductive Medicine 2014 Annual Meeting
    • 発表場所
      ハワイ ホノルル市
    • 年月日
      2014-10-18 – 2014-10-22

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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