研究課題/領域番号 |
24500836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
嶋田 洋徳 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70284130)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ストレスマネジメント / 認知行動療法 / 児童生徒 / 社会的スキル訓練 / 注意の偏り |
研究概要 |
平成24年度は,児童生徒のストレス場面に対するコーピングスキルのアセスメントに関する理論的検討を行い,特に認知的側面に焦点を当てることとした。児童生徒を対象としたストレスマネジメントプログラムにおいては,社会的スキル訓練(SST)が大きな役割を果たし,児童生徒間の適切なコミュニケーションの促進が期待されている。しかしながら,SSTは双方向の相互作用が重要な意味を持つことから,自らの働きかけに対する相手の反応を適切にとらえる必要がある。したがって,当該児童生徒が「報酬への感受性の低さ」を有していると,獲得したスキルを実行した際に随伴する他の児童生徒からの強化的なフィードバックなどの報酬に注意が向きにくいことで,スキルの実行が適切に強化されず,スキルの維持や他のスキルへの般化が起こりにくいことが予測される。そこで本研究では,報酬への注意の偏りを変容する手続きを取り入れた集団SSTを行い,社会的スキル訓練の効果の維持,般化に及ぼす影響について検討することを目的とした。 公立小中学校に在籍する小学生177名,中学生65名を対象として,それぞれ個別に報酬への注意の偏りを測定し,標準的な集団SSTを行う群と注意変容群に振り分けて介入を実施した。その結果,介入後,注意の偏りがみられない児童生徒は適切に社会的スキルが獲得,維持されたのに対し,偏りが見られる児童は,獲得したスキルが維持されにくい傾向にあることが示された。また,注意の偏りの程度にかかわらず,注意変容群は,標準群と比較して,社会的スキルの般化が起こる傾向にあることが示された。これらのことから,児童生徒のストレスマネジメントを考える際には,報酬への注意の偏りのアセスメントが重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全般的に概ね当初計画通り進展している。しかしながら,当初目標としていた標準データとするまでの十分なサンプル数が収集されておらず,小学生,中学生,高校生ともに同様のデータを収集する必要がある。また,アセスメントの多角性を担保するために,理論的検討もさらに重ねる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度と同様の手続きを用いて,サンプル数を増やすとともに,抑うつ反応,不安反応以外にも,怒り反応などを念頭において,アセスメントに基づいた介入を実施し,その効果の有無を検討する中から,主要なアセスメント方略を探索的に検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
学校におけるコーピングスキルのアセスメントやストレスマネジメントプログラムの実践に伴う国内旅費,プログラム実践や収集したデータ入力の際の研究補助者への謝金,研究成果等の発表に伴う国内旅費や外国旅費,調査用紙の印刷費,各種消耗品に研究費を使用する予定である。
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