研究課題/領域番号 |
24500838
|
研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
近藤 千春 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (60331576)
|
研究分担者 |
和田 貴子 椙山女学園大学, 看護学部, 助手 (20599435) [辞退]
松本 俊彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 薬物依存研究部, 診断治療開発研究室長 (40326054)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 参与観察 / 両価性 |
研究実績の概要 |
平成25年度までの調査票の調査に加え、SMARPP実践施設での参与観察による調査を複数個所で実施し、研究の成果をまとめる際に調査票による調査結果を補うための資料とした。 調査票による調査では、ミーティング中の「対応が困難」と認識される場面は、ミーティングを担当する機会が最も多い心理士は、様々なミーティングの場面に遭遇することがあり、他の職種より多くなる傾向があることが推察された。また、患者の治療や退院後の生活指導に直接かかわる機会が多い医師や精神科ソーシャルワーカー(以下PSW)は、ミーティング中の患者への関心も高くなり、なんとかしようと積極的にかかわることにより患者の「抵抗」を招くことになり、「対応が困難」な場面を招きやすくなることが推測された。一方、複数人が交代でミーティングを担当する看護師の場合は、1人がミーティングを担当する機会が少ないことから「対応が困難」な場面に遭遇する機会が少ないことが予想された。 ところが、参与観察による情報からは、調査を実施した施設のように看護師も担当者が限定されているところもあり、看護職全体が対応困難な場面に遭遇する機会が少いわけでなく、「対応が困難」な場面に遭遇した回答が少ないのは他の要因も含まれることが推測された。 参与観察では看護師がファシリテーターを務めるミーティング中、計画的な時間配分や参加者の回答への対応に工夫が必要ではないかと思われる場面が幾つか観察された。実際は看護師の多くは「対応が困難」と認識される複数の場面を経験していることが、参与観察の調査からは推測された。 平成25年度までの調査を基に作成した「SMARPPの実践のためのガイドブック」は、調査協力機関の他、国立精神神経医療研究センターで行われる薬物依存症の認知行動療法の研修会の研修資料として配布され活用されているが、今後より活用されていくことを期待する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
参与観察によるデータはより複数の施設での観察を行い、可能な限り情報の偏り避けることが必要であるが、調査対象としていた施設との調整が難航し、調査が実施出来なかった。 また、調査票による調査の結果から新たな課題が見つかり、参与観察によるデータ収集をより複数の施設で実施する必要性が高まった。 特に、SMARPPの実践において困難だと認識されている場面に関して、各職種のSMARPP実施にあたっての困難な場面の情報を収集する必要性がある。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで参与観察を実施してきた施設に加え、新たな保健・医療機関への訪問調査により、SMARPPミーティングを進めるにあたって困難と思われる場面を直接観察をしてSMARPPを実践する上での課題をより明らかにすることに努める。特に、職種によりSMARPPを取り組むにあたっての課題に違いが無いかを明らかにしたい。 平成25年度に作成した「SMARPPの実践のためのガイドブック」の内容を見直し、参与観察により得られた情報を基に改訂版の作成に取り組む。
|
次年度使用額が生じた理由 |
SMARPPを実施している医療機関への参与観察を計画していたが、調査の日程を組むにあたり、訪問先との調整が難航し平成26年度内に訪問調査を実施することが出来なかった。 参与観察による情報は、調査票調査による情報を補う上で有用であり、計画していた対象施設への訪問調査を実施することは研究をまとめる上で重要であり、今年度の研究活動の主な内容となる。
|
次年度使用額の使用計画 |
民間の病院であり、依存症の専門治療施設ではない北海道にある精神病院で行われているSMARPPに参与観察目的で訪問する。また、平成26年度までの研究成果を製本化し、研究の協力施設に郵送もしくは持参し3年間の研究の報告を行う。 今年度の研究費は、参与観察のための旅費と研究の経過をまとめ、協力施設に配布するための経費として使用する。
|