研究課題
糖尿病における大血管合併症の発症にはLDLの酸化やタンパクの糖化が関連している37名の2型糖尿病患者を対象に、酸化LDLの1つである血中マロンジアルデヒド(MDA)-LDL濃度および糖化タンパクの1つである血清ペントシジン濃度と冠動脈CTによる冠動脈病変との関連について検討した。MDA-LDLは冠動脈狭窄と有意な関連はなかったが、MDA-LDL、MDA-LDL/LDL、MDA-LDL/HDL、(MDA-LDL/LDL)/HDLとMDA-LDL濃度の三分位には有意な関連が認められた。1型糖尿病の動脈硬化発症リスクの検討については、現在症例の蓄積中である。心肺運動機能は心血管疾患の独立した危険因子である。2型糖尿病患者では運動耐容能の低下が認められるが、その原因については明らかではない。30歳以上70歳未満んの2型糖尿病患者34名を対象としエルゴメーターによる心肺運動負荷試験を行い、各パラメーターと比較した。糖尿病においても、最大酸素摂取量は骨格筋量と有意に相関した。体格の影響を除いた上で重回帰分析すると、最大酸素摂取量はΔHR(最大時心拍数-安静時心拍数)と有意な相関を認めた。また、ΔHRは安静時CVRRと有意な正相関を認め、2型糖尿病の心肺運動機能の低下には、骨格筋量の低下と自律神経機能低下が影響していると考えられた。また、最大酸素摂取量と頸動脈IMTには有意な関連が認められなかった。骨格筋細胞内や肝臓での異所性脂肪蓄積(各々、IMCL、肝TG)はインスリン抵抗性と関連していることが報告されている。MRスペクトロスコピー(MRS)を用いた前脛骨筋IMCLと肝TGを19名の2型糖尿病患者で測定し、頸動脈IMTとの関連について検討したが、IMCLと異所性脂肪蓄積とには有意な関連が得られなかった。
2: おおむね順調に進展している
1型糖尿病患者のリクルートが十分でない。これは、1型糖尿病患者が若年かつ患者数が少ないことによる。
IMTと異なり、冠動脈CTや心肺運動負荷試験、MRSは数をこなせる検査ではないので、すぐに症例数を増やせないのが課題であるが、症例数は徐々に増加してきている。
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J Atheroscler Thromb
巻: 21 ページ: in press
10.5551/jat.20487