研究課題
基盤研究(C)
本年度は、糖尿病状態キンギョモデルの作製およびキンギョのエキソーム解析結果に基づくオリジナルアレイの開発に取り組んだ。その結果、アロキサンを500mg/kg-体重以上腹腔内へ投与すると高血糖状態となることをキンギョの血糖値測定から明らかにした。また、タカラバイオへキンギョのゲノムDNA断片塩基配列決定を外注し、その結果とゼブラフィッシュのエキソーム配列との比較をマッピングソフトを用いて実施した。ゼブラフィッシュのエキソーム配列を原型として発見されたキンギョの変異部位からゼブラフィッシュ・キンギョのキメラエキソームを作成し、ミトコンドリア以外の全てのタンパクの遺伝子塩基配列を決定し、キンギョのオリジナルアレイを作成した。糖尿病における骨代謝は、これまで適切なモデル系がなかったため骨代謝への影響を詳細に検討することができなかった。われわれは、キンギョのウロコがI型コラーゲンを中心とした骨基質タンパクと破骨細胞および骨芽細胞が共存し、添加的石灰化と直接骨化によって形成されるため哺乳類の膜性骨のモデルとなることを利用し、これまで骨代謝の研究をウロコモデルにより研究してきた。今回、糖尿病状態キンギョモデルを作製し、さらに、ゼブラフィッシュとの類似性からキンギョのエキソーム解析によりミトコンドリア以外の全てのタンパクの遺伝子塩基配列を決定した。したがって、糖尿病状態のキンギョの再生ウロコから糖尿病状態での骨代謝を遺伝子レベルで解析できる可能性が開け意義あるものである。
2: おおむね順調に進展している
H24年度の交付申請書に記載した「研究の目的」は、「キンギョの糖尿病モデル作製」と「オリジナルアレイの開発であった。」上述どおり、糖尿病状態モデルの作成法と糖尿病状態の確認を行うことができた。また、キンギョのエキソーム解析によりミトコンドリア以外の全てのタンパクの遺伝子塩基配列を決定し、キンギョのオリジナルアレイを作成したため。
①アロキサンを腹腔内へ投与すると高血糖状態になったが、膵島でのインスリン産生量が減少しているかどうかを確認する必要がある。そこで、アロキサン投与量による膵臓でのインスリン産生低下を魚類のインスリン抗体を用いた免疫染色法により確認する。②高血糖の糖尿病状態キンギョのウロコを抜去し、高血糖状態で再生する再生ウロコ上の骨芽細胞や破骨細胞の遺伝子発現を調べ、糖尿病状態での骨代謝を解析する。③糖尿病での骨強度に関連すると考えられる骨基質タンパクの糖化を評価する。そこで、糖尿病状態で再生した再生ウロコの骨基質タンパク、特にI型コラーゲンの非酵素的糖化に伴うアマドリ化合物によるα鎖どうしの架橋から生じるβ鎖やγ鎖の増加量を解析する。
消耗品:H25年度は、魚類のインスリン抗体を用いた免疫染色法の実施に必要な器具、試薬類で400千円を計上している。また、高血糖状態でのウロコの骨代謝に必要な遺伝子解析用キットが多く必要で、600千円を計上している。さらに、I型コラーゲンの非酵素的糖化の解析に必要な器具、試薬類で400千円計上している。実験に必要な実験動物として、キンギョを合計100匹で50千円計上している。旅費:成果発表国内旅費で150千円計上している。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件)
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