• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

メタボリックシンドローム予測因子としてのライフスタイルの重要性に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 24500854
研究機関大阪大学

研究代表者

瀧原 圭子  大阪大学, 保健センター, 教授 (70252640)

キーワード生活習慣病 / ライフスタイル / 喫煙 / 睡眠
研究概要

これまでの研究により蓄積された健康診断データをもとに、メタボリックシンドローム発症高リスク群のライフスタイルを明らかにしてきた。本研究では睡眠や食事、喫煙習慣などのライフスタイルの中で、特に喫煙習慣に注目して解析を行っている。昨年度までに、炎症性サイトカインおよび動脈硬化症の指標である頸動脈の内膜中膜複合体厚 (IMT) の経年変化を解析することにより、喫煙者は非喫煙者と比較して有意に血中IL-6および高感度CRP値が高く、また過去喫煙者も非喫煙者と比較してこれらが高い傾向にあり、炎症が遷延している可能性が示唆された。2年間の観察期間中のIMTの増加には、収縮期血圧、中性脂肪、HbA1c、LDL-コレステロールおよび喫煙が関与していたが、多変量解析によりLDL-Cと喫煙の強い関与が明らかとなった。
今年度は、特に女性における喫煙の影響について解析を行った。女性喫煙者においても非喫煙者と比較して有意に血中IL-6および高感度CRP値が高く、観察期間中のIMTの経年変化は有意に女性喫煙者において大きかった。また、男女ともに喫煙者は非喫煙者と比較して中性脂肪が高く、HDL-コレステロールが低かったが、興味深いことに女性喫煙者は非喫煙者と比較して有意に内臓脂肪面積が大きくなっていた。男性喫煙者においても非喫煙者と比較して内臓脂肪面積が大きくなる傾向を認めたが、女性においてその差が顕著であった。
一般的に女性においては内臓脂肪に比べ皮下脂肪が多いことが知られているが、女性喫煙者においては男性喫煙者には見られない内臓脂肪面積の増大を伴うことを初めて明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

メタボリックシンドローム発症高リスク群のライフスタイルとして、まず喫煙習慣に焦点をあて詳細に検討し、さらには男女別に喫煙の影響について解析を行った。炎症性サイトカインの解析から、喫煙習慣が慢性炎症に関わっていること、動脈硬化の進展に強く関与していることを明らかにした。また、メタボリックシンドローム発症にかかわる喫煙の影響における性差の存在を初めて明らかにした。本研究成果は、生活習慣病予防へとつながるライフスタイル改善に向けての指導方法において、男女別に予防法・生活指導法を確立する必要がることを初めて明確にし、男女それぞれにおける個別の禁煙指導の重要性を示した。
睡眠や食事習慣などの喫煙以外のライフスタイルの、メタボリックシンドローム発症リスク因子としての意義、さらには喫煙と老化との関連についての検討は、次年度以降に実施予定である。

今後の研究の推進方策

これまでの研究において、我々は男性と女性において動脈硬化発症機序に違いがあることを報告している。昨年度は、主に男性の喫煙習慣の生活習慣病発症リスク因子への関与について解析を行い、今年度は女性喫煙者につき解析をすすめることで、喫煙の影響について性差があることを明らかにした。平成25年度に「健康日本21」が大幅改訂され、この中で禁煙がかなり重視されるとともに、近年若年女性の喫煙率が低下していないことも含め、今後の禁煙指導に対して重要な情報を提供すると思われる。
さまざまな生活習慣病の病態および老化に、慢性炎症が関与していることが近年示唆されている。喫煙習慣以外の、食事、睡眠やストレスなどのライフスタイルの変化が、予防医学的観点からメタボリックシンドローム発症リスク因子としてどのような意義を持つのか、さらには喫煙習慣と老化・慢性炎症との関連を明らかにしていく予定である。

次年度の研究費の使用計画

本研究のほとんどの経費は、検体のサイトカインなどの測定に使用されているが、今年度の研究対象となる検体数が当初の予定より少なかったため、次年度に繰り越すこととした。
次年度の研究計画に基づいた、検体のサイトカイン等の測定やデータ解析、
研究成果発表のための学会出張旅費に使用予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Smoking associates visceral fat accumulation especially in women.2014

    • 著者名/発表者名
      K. Nakanishi, M. Nishida, T. Ohama, T. Moriyama, K. Yamauchi-Takihara.
    • 雑誌名

      Circ J

      巻: 78 ページ: 1259-1263

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The challenge of the “Estrogen Paradox” in pulmonary arterial hypertension.2014

    • 著者名/発表者名
      K. Yamauchi-Takihara.
    • 雑誌名

      Circ J

      巻: 77 ページ: 1992-1993

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Is there a sex difference in Japanese patients with heart failure?2014

    • 著者名/発表者名
      S. Suna and K. Yamauchi-Takihara.
    • 雑誌名

      Circ J

      巻: 78 ページ: 318-319

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 大阪大学における喫煙対策2014

    • 著者名/発表者名
      瀧原圭子
    • 雑誌名

      臨床検査学教育

      巻: 6 ページ: 1-6

  • [雑誌論文] Disease-association analysis of an inflammation–related feedback loop.2013

    • 著者名/発表者名
      M. Murakami, D. Kamimura, M. Harada, H. Ogura, A. Okuyama, N. Kumai, R. Singh, J-J Jiang, Y. Okuyama, T. Atsumi, S. Shiraya, Y. Nakatsuji, M. Kinoshita, H. Kohsaka, M. Nishida, S. Sakoda, N. Miyasaka, K. Yamauchi-Takihara, T. Hirano
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 3 ページ: 1-14

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Tocilizumab for the treatment of the patients with refractory Takayasu arteritis.2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Nakaoka, K. Higuchi, Y. Arita, M. Otsuki, K.Yamamoto, T. Hashimoto, T. Yasui, K. Ikeoka, T. Ohtani, Y. Sakata, K. Yamauchi-Takihara, T. Tanaka, T. Kishimoto, I. Komuro.
    • 雑誌名

      Int Heart J

      巻: 54 ページ: 405-411

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Is low testosterone concentration a risk factor for metabolic syndrome in healthy middle-aged men?2013

    • 著者名/発表者名
      Tsujimura A, Miyagawa Y, Takezawa K, Okuda H, Fukuhara S, Kiuchi H, Takao T, Yamamoto R, Nishida M, Yamauchi-Takihara K, Moriyama T, Nonomura N.
    • 雑誌名

      Urology

      巻: 82 ページ: 814-819

    • 査読あり
  • [学会発表] 麻疹、風疹等各種ワクチン接種対象者の年次推移とワクチンによる抗体獲得率2013

    • 著者名/発表者名
      村井教子 川村淳子 熊谷一代 藤田亜佐子 中西香織 大濱透 川田典孝 西田誠 守山敏樹 瀧原圭子
    • 学会等名
      第51回全国大学保健管理研究集会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      20131113-20131114
  • [学会発表] 大阪大学教職員における喫煙についての調査~女性における喫煙の影響について2013

    • 著者名/発表者名
      梅野有希,米田桃子,中西香織,川村淳子,村井教子,熊谷一代,大濱 透,川田典孝,西田 誠,守山敏樹,瀧原圭子
    • 学会等名
      第51回全国大学保健管理研究集会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      20131113-20131114
  • [学会発表] 毛細血管拡張症が後の顕在化してきた肺高血圧症の一例2013

    • 著者名/発表者名
      正木 豪、大谷朋仁、中岡良和、坂田泰史、南都伸介、瀧原圭子、小室一成
    • 学会等名
      第2回日本肺循環学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130622-20130623

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi