研究課題
これまでの研究により蓄積された健康診断データをもとに、メタボリックシンドローム発症高リスク群のライフスタイルを明らかにしてきた。本研究では睡眠や食事、喫煙習慣などのライフスタイルの中で、特に喫煙習慣に注目して解析を行ってきた。3年間の研究において、炎症性サイトカインおよび動脈硬化症の指標である頸動脈の内膜中膜複合体厚 (IMT) の経年変化を解析することにより、喫煙者は非喫煙者と比較して有意に血中IL-6および高感度CRP値が高く、また過去喫煙者も非喫煙者と比較して高い傾向にあり、炎症が遷延している可能性が示唆された。女性喫煙者においても観察期間中のIMTの経年変化は有意に非喫煙者と比べて大きかった。また、男女ともに喫煙者は非喫煙者と比較して中性脂肪が高く、HDL-コレステロールが低かったが、興味深いことに女性喫煙者は非喫煙者と比較して有意に内臓脂肪面積が大きくなっていた。本研究により喫煙の男女別の健康被害が初めて明らかとなった。最終年度においては「老化・炎症」といった観点から喫煙のメタボリックシンドロームへの関与を検討し、禁煙が果たす健康維持や疾病予防の新たな科学的意義を明らかにした。喫煙習慣や睡眠、ストレス等のさまざまなライフスタイルの変化が、老化と関わるKlothoの発現レベルにどのように関与しているのかを検討したところ、KlothoおよびKlothoファミリー分子であるFGF-21の血中レベルが喫煙により上昇することを初めて明らかにした。また、Klotho およびFGF-21は、IL-6およびアディポネクチンと相関を示すことも初めて見いだし報告した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件)
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