研究課題/領域番号 |
24500855
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
松本 鉄也 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70273406)
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研究分担者 |
中江 一郎 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20314148)
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キーワード | 血管機能 |
研究概要 |
動脈硬化の発症から病態に至る進展過程は若年齢化している。動脈硬化の初期段階を評価するうえで有用な血管内皮機能の統一された評価基準は未だ無く、標準化が待たれている。血管内皮機能の自然歴に関する情報は乏しいため、指尖容積脈波に工夫を加えた新しい方法で若年健常人の血管内皮機能の経年的変化の評価を試みた。 年齢18歳以上25歳以下の大学生で今後3年間の追跡調査が可能な約50名の調査研究を1年目に開始した。調査項目として性、年齢、身長、体重、体格指数(Body mass index)、喫煙、ブリンクマン指数(喫煙本数 x 喫煙年数)、飲酒の習慣、睡眠時間、朝昼夕食の欠食の有無、深夜アルバイトの有無、高血圧・高脂血症・糖尿病などの動脈硬化危険因子の有無、心血管疾患の家族歴を調査した。血管機能検査は午前中の空腹時に、一時間の安静後に行なった。同時にバイタルサイン(脈拍数、血圧、酸素飽和度、体温)を測定した。さらに、Reactive hyperemia-peripheral arterial tonometory法(以下RH-PAT 法)による測定を施行した。約15分間の安静後に血圧を測定し、Endo-PAT 1500装置を起動し、接続されたPATプローブを両手指に装着した。右前腕を最高血圧より50mmHgを加えて駆血し、5分後に解除した。自動分析ソフトにより、駆血前と駆血後のROIの信号を比較して、反応性充血指標であるRH-PAT indexを求めた。2年目は約40名の血管機能の追跡調査を実施し、経年変化を検討している。今の所、統計学的に明らかな変化は認めていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数名の対象者が絶食で無かったり、安静が保たれていなかったり、測定条件が異なったために脱落症例となっている。また、ストレインゲージにより上腕の反応性血流増加を測定するプレチスモグラフ法は値に再現性が乏しいことが判明したため、別の集団において同法に関する基礎データを収集し、検査の妥当性を検証している。一方、RH-PAT法による血管機能検査については有害事象を認めず、2年目以降も実施している。
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今後の研究の推進方策 |
対象被験者の3年目の追跡調査をする。被験者に再度研究の同意を確認し、1年目、2年目と同様の検討をする。1回目、2回目、3回目の内皮機能の指標の比較を行う。そして、若年健常人における内皮機能の推移、生化学指標の推移、内皮機能と臨床指標の関連性について明らかにする。 具体的には睡眠時間、身長、体重、体格指数、脂質値、空腹時血糖、内皮機能に影響する可能性のある生活習慣(喫煙習慣、飲酒習慣、睡眠時間、朝昼夕3食の摂取状態、深夜アルバイトの有無)と血管内皮機能の関連性を明らかにする。そして、若年期の適切な生活習慣を促す健康教育活動に反映させられるよう進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
主要研究と並行してプレチスモグラフ法の血管内皮機能評価の妥当性の検証をする必要が生じたため。また、反応性充血のために動脈を駆血する際に迷走神経反射が生じた例があり、応急処置の備えが必要となったため。 ドプラー血流計、血圧計、消耗品(血管機能測定専用プローベ、文房具類等、アルコール綿、輸液セット、救急セット)、統計ソフト、研究補助に対する謝金、印刷費、調査及び成果発表のための旅費等に使用予定である。
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