血管年齢が注目されているが、血管内皮機能の評価基準はまだ統一されていないため、その標準化が重要である。不適切な生活習慣が続くと、酸化ストレスが亢進し、内皮機能は障害される。動脈硬化の発症から病態に至る進展過程は若年齢化している。そこで、若年健常人の血管内皮機能を客観的かつ経年的に評価し、若年健常人の内皮機能の変動要因となる生活習慣の分析を行なった。 対象は年齢18歳から20歳の大学生48名(男性22名、女性26名)で有病者は除外した。RH-PAT(Reactive hyperemia-peripheral arterial tonometory)法による内皮機能評価を1年毎に3回施行した。RH-PAT indexを内皮機能の評価値とした。質問紙法で得られた性、年齢、身長、体重、体格指数、喫煙や飲酒の習慣、睡眠時間、朝昼夕食の欠食の有無、深夜アルバイトの有無等と内皮機能の関連を各年度で解析した。 2年間で飲酒習慣、喫煙率は増加したが、RH-PAT indexの有意な変化は認めなかった。喫煙の開始、極端なダイエット、身体活動量の低下、深夜のアルバイトとそれに伴う睡眠時間減少等が内皮機能低下に関与する可能性が考えられたが、今回の検討では明らかでなかった。但し、自身の血管内皮機能の客観的数値を把握することは、生活習慣のあり方を見直す動機に結びつく可能性が示された。即ち、科学的根拠に基づく禁煙指導、生活指導、食育が大学生の時期においても重要であると考えられた。
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