研究課題/領域番号 |
24500861
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
島田 美恵子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (70413036)
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キーワード | 運動療法 / 高齢者 / 関節痛 / 身体活動量 |
研究概要 |
本研究の目的は、生活形態の異なる(在宅 施設入居)高齢者を対象に運動支援を実施し、関節痛を指標の1つとした健康状態に及ぼす影響を検討することである。2年目の本年は、両対象群に、隔週で、1回あたり在宅高齢者は約90分間、施設入居高齢者は約30分間の、運動支援を1年間継続した。 <在宅高齢者について>高齢期における適切な運動支援の効果を個別に把握するための指標として、成長ホルモン(GH)に注目し、その変化について検討した。隔週1回あたり90分間で年間計23回、ストレッチ・筋力トレーニングを中心とした健康教室を開催した。指導の前後に、形態、血液生化学検査、体力測定、問診による関節痛・主観的健康感を調査した。参加者には自宅での運動実践を促すとともに、身体活動量計(ライフコーダGX スズケン)を貸与して毎日の活動量を記録し、隔週で活動の様子をフィードバックした。1年後のGHの増減により対象者を2群別し、ロジスティック回帰分析で検討した。年間で20回以上教室に参加した23名を対象とした(平均年齢73.5±5.2歳)。1年後の検査で、血中のGHが減少した者8名(男性2名女性6名 1.96±2.39ng/ml→1.43±2.27ng/ml)、不変または増加した者15名(男性7名女性8名 0.82±0.94ng/ml→1.88±1.72ng/ml)の間で、もっとも強く影響した因子は、体重の変化であった(GH減少群:マイナス0.46±1.75kg GH増加群:プラス1.0±1.0kg)。加齢に伴うGH分泌不全の原因は多様であり、中枢神経系で複雑かつ統合的に調節されているが、GHは高齢期における健康づくりの指標として活用できる可能性が示唆された。 <施設入居高齢者>12名について握力を指標として運動効果を検証した。調査期間中に、施設から医療機関に入院・通院した3名に著しい低下が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
継続的に運動指導が実施できる協力施設が決定した。民間の有料老人施設(定員30名)の1施設において、ボランティアを伴った運動指導を定期的に実施し、認知症が疑われる入居者にも認識されるようになった。ボランティアは、本研究の被験者である在宅高齢者より募っている。在宅高齢者においては、社会的活動の1つとなり、健康づくりの相乗効果が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
施設入居高齢者において、健康指標とするデータを取得することが困難な状況である。民間施設においては、施設側も、自力歩行困難な高齢者の身長・体重データを入手できていない。認知機能が疑われる高齢者においては、家族の同意も必要であり、倫理的な配慮・措置が求められる。施設と連携している医師とも連携し、情報交換が必要であると考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
早朝の測定に、被験者移動のためのタクシー代金を計上していたが、大方の被験者が徒歩で来所可能なため、旅費が不要となった。在宅で要支援の高齢者が不足しているため、指導補助者が1名で運営できている。身体活動量計は既存の旧機種を使用している。 被験者に死亡が確認されるなど、高齢化・低体力化が進行しているため、指導補助車の増員が必要である。呼気ガス測定器の精度維持に、メンテナンス経費が必要となった。
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