研究実績の概要 |
平成27年度は、対象者の日常身体活動量の評価ついて検討した。 一日あたりの歩数を継続的に調査し、前・後期高齢者における歩数の特性について明らかにすることを目的とした。平成6年から26年までの間に、前期高齢者46名(男18名女28名)および後期高齢者19名(男8名女11名)に毎日の歩数を2年間記録させた。調査期間に入院や骨折など身体活動が制限される健康障害がなかったものを選定した。歩数データの特性はShapiro-WilkのW検定で正規性を、Durbin-Watson比で自己相関性を検定した。測定期間別の歩数の妥当性は、1年間の平均歩数365個を母平均とし、歩数計貸与2日目の1日のみ、7日間、14日間、1か月、3か月、Togoの方法で、期間中の平均値との差を比較した。前期高齢者男・女、後期高齢者男・女の1年目の平均歩数は、9,581±3187、7,710±1,617、8,004±2460、7,569±4249歩/日であり、2年目の平均歩数との間に有意な差はみられなかった。いずれの年代もDurbin-Watson比は小さく自己相関があり、1年間の歩数の分布は、集団としては男性前期高齢者をのぞいて正規性がみられなかった。集団としての平均歩数は、測定期間別に有意な差はみられなかった。1年の平均値と測定期間の平均値の差を個々に差を検討すると、3カ月の測定期間に有意な差を認めたものが半数であった。歩数データは自己相関があり単調に増減すること、個人の年間の歩数データは正規分布しないことが明らかになった。外れ値が多い対象者の代表値は平均値では妥当でないことが示唆された。母平均(1年分)と測定期間別平均値との差の有意性は集団としては有意な差はみられなかったものの、個体間差がみられた。歩数の特性をふまえての身体活動量の評価と、個々への支援法の開発が期待される。
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