研究課題/領域番号 |
24500867
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
筧 佐織 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00450560)
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研究分担者 |
桜庭 景植 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (50175460)
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キーワード | 骨格筋 / 細胞内脂質 / インスリン抵抗性 / 不活動 |
研究概要 |
I.研究開始当初の背景と目的:近年の研究の進歩により運動が骨格筋のインスリン感受性を増加させるメカニズムの解明が進んでいる一方、運動不足がどのようにインスリン抵抗性を惹起するか、そのメカニズムの解明はほとんど行われていない。そこで本研究では、不活動が骨格筋におけるインスリン抵抗性を惹起するメカニズムを明らかとすることを目的として研究を行った。 II.研究の方法:8-9週齢C57BL6J雄性マウスに不活動のモデルとして片側下肢を24時間ギプス固定した。介入後に、インスン刺激時のヒラメ筋におけるグルコースの取り込み量を測定すると共に、インスリンシグナル伝達を調査した。さらに、LC-MSによる骨格筋細胞内脂質の組成と脂質代謝酵素量・活性を検討した。 III.研究の成果(結果):24時間のギプス固定で、骨格筋のインスリン感受性は40%以上低下した。このインスリン感受性の低下は、IRS-1チロシンリン酸化、Aktセリンリン酸化減弱と関連していた。この原因を解明するために、骨格筋細胞内脂質の組成を観察した所、IRS-1チロシンリン酸化の低下に関わるdiacylglycerol(DAG)が2倍以上に増加していた。また、TAG合成酵素の一つであるDGAT1の発現量が50%減少し、de novo lipogenesisの律速酵素であるフォスファチジン酸脱リン酸化酵素(Lipin1)の発現量・活性が各々1.7、1.4倍に有意に増加していた。これらの結果より、不活動による骨格筋インスリン抵抗性惹起の原因の一つにLipin1などの脂質代謝酵素の発現量・活性変化を介した細胞内DAG蓄積が関与する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの実験により得られた不活動によるインスリン抵抗性惹起の鍵遺伝子をin vivo, in vitroでの介入実験により機能を評価している。 今後は、サンプル採取が終了している、不活動時のヒト骨格筋の解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
今後も連携研究者と緊密に連携を取り研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していたものが当初の計画よりも安価で手に入ったため。 来年度の補助金と合わせて使用する予定である。
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