研究課題
近年の研究の進歩により運動が骨格筋のインスリン感受性を増加させるメカニズムの解明が進んでいる一方、運動不足がどのようにインスリン抵抗性を惹起するか、そのメカニズムの解明はほとんど行われていない。最近我々は、動物モデルを用いてわずか24時間の不活動がインスリン抵抗性惹起が、細胞内DAG蓄積と関連する可能性があることを明らかとした。そこで本年度は、これらに係るメカニズムを明らかとすることを目的として研究を行った。不活動のモデルとして、8-9週齢C57BL6J雄性マウスに対して片側下肢を24時間ギプス固定した。介入後に、代謝に関わる各脂質代謝酵素発現量・活性を評価した。その結果、24時間のギプス固定で、TAG合成酵素の一つであるDGAT1の発現量が50%減少し、de novo lipogenesisの律速酵素であるフォスファチジン酸脱リン酸化酵素(Lipin1)の発現量・活性が各々1.7、1.4倍に有意に増加していた。さらに、in vivoでヒラメ筋にLipin1ドミナントネガティブ変異体をエレクトロポレーション法で導入した所、24時間のギプス固定によるDAGの蓄積とインスリン感受性の低下が部分的に軽減する傾向を認めた。以上の結果より、不活動による骨格筋インスリン抵抗性惹起の原因の一つにLipin1を始めとした脂質代謝酵素の発現量・活性変化を介した細胞内DAG蓄積がある可能性が考えられた。
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