妊娠経過中に妊娠糖尿病と診断された患者に対して、食事栄養指導、自己血糖測定、血糖変動によってはインスリン導入により血糖管理を行った。出産1年後の糖負荷試験を行った症例について報告する。 妊娠糖尿病と診断された年齢は35±3.6歳(平均±SD)、出産週数は38週5日±6日(平均±SD)、75g糖負荷試験にて4名が1ポイント陽性、1名が2ポイント陽性で妊娠糖尿病と診断された。2名に糖尿病の家族歴を認めた。全例において、妊娠糖尿病と診断後に食事栄養指導が行われ、その後食事療法のみで血糖管理が不良であった2例においては、インスリン療法が導入となった。食後の自己血糖測定時間は、血糖変動に合わせ90~120分後に測定するように指示をした。出産形態は経腟分娩が3名、帝王切開が2名であり、出生体重は2953.2g±488.5gで、2500g以下の低出生体重児は1名であった。出産3か月目の75g糖負荷試験において、4名が正常型、1名が境界型で、HbA1cは5.55±0.23%(平均±SD)であり、糖尿病型は認めなかった。出産1年後の75g糖負荷試験の結果は3名が正常型、2名が境界型で、HbA1cは5.46±0.14%(平均±SD)であった。妊娠期間中にインスリン療法を施行していた症例は1名は正常型、1名は1年目に境界型を示した。 期間内に出産後1年目までのデータを抽出しえた症例が少なく、妊娠中の血糖変動が出産後の耐糖能悪化に影響する因子についての解析は十分に行えていない。今後も研究を継続し、症例数を増やして出産後の糖尿病発症に影響する因子を検討していく予定である。
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