研究課題/領域番号 |
24500870
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
斉藤 アンネ優子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30348916)
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研究分担者 |
内藤 久士 順天堂大学, 大学院スポーツ研究科, 教授 (70188861)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 筋電気刺激 / 化学放射線療法 / 非小細胞肺癌 |
研究実績の概要 |
本年度は肺癌(15名)、頭頸部癌(7名)、食道癌患者(3名)を対象として、介入群の試験を行った。筋電気刺激は問題なく行えたが、初回化学療法の有害事象による倦怠感や吐き気、化学療法の有害事象で血球減少を来しているのに、さらに毎週採血されることへの不安)および機器操作困難を理由に14名が脱落した。 筋電気刺激は、どの患者でも大腿部前面に1日2回・週5日の頻度で実施した。 最多の症例数が集積できているのが、化学放射線療法施行の非小細胞肺癌患者(ステージⅠ-Ⅲ)の介入群である。現在のところ合計17名(年齢71.1±7.2、身長167.2±6.9、体重61.2±10.3)である。この症例群の化学放射線療法期間中の筋電気刺激によるトレーニングの中間解析は以下の通りである。 筋厚は、介入期間の前後で低下は認められなかった(P>0.05)。また、筋電気刺激のトレーニング強度と筋厚の変化量には正の相関関係が認められた(P<0.05, r=0.78)。このことから介入期間中の筋電気刺激の強度が高いほどトレーニング効果が高いことが考えられる。しかしながら、筋電気刺激が非小細胞肺癌患者の化学放射線療法による治療期間の筋サイズ低下に対する抑制効果があるか否かについては対照群と比較する必要があるため、今後は対照群の募集を行う予定である。また、悪液質の進行状態を検証するための血液検査も全例で継続して実施しているため、今後は採血データの解析も開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象患者のうち、試験に同意いただけない患者が思いの他、多かった。 まず、週1回の採血に同意頂ける方が少ない。ただでさえ、抗がん剤の有害事象で、白血球や赤血球が減少すると説明されているため、週1回の採血に不安を感じる患者さんが多かった。 また、年配の患者で機械の操作に不安を感じ、同意いただけなかった患者も多かった。 研究用に、精度の高い機械を使用しているため、通常の美容に使用される機器より、やや操作が多く、これが問題と思われた。 さらに、治療早期に出現する化学療法の倦怠感や吐き気で研究から脱落する患者もいた。 電気刺激を継続している患者群は、トレーニング継続とともに、明らかに化学療法の有害事象が軽くなっている強い印象を患者診察で得られたため、今後はこれを患者に伝え、トレーニング継続のモチベーションを継続して頂けるよう努める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
それぞれの疾患で20例ずつの介入群が終了した段階で、対照群へのトレーニングを開始する予定である。非小細胞肺癌はあと3例で介入群が終了するので、このペースで集積が可能ならば、18か月程で対照群の集積が終了できるものと思われる。 その後、学会発表・論文化を考えている。 また、今後、米国のMDアンダーソンがんセンターと、電気刺激トレーニングを用いた癌悪液質の改善に向けた共同研究を行う予定であり、その協議も平行して進めていく予定である。
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