研究課題/領域番号 |
24500871
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
横田 隆 日本医科大学, 付置研究所, その他 (30445829)
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研究分担者 |
太田 成男 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00125832)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 緑内障 / 酸化ストレス / 抗酸化剤 |
研究概要 |
申請者らは、前回の研究で水素分子(H2)を溶解した水素水の点眼によってヒドロキシラジカル(・OH)を選択的に消去することで急性網膜障害モデルにおける神経保護効果を見出し、優れた抗酸化物質であることを証明した。本研究では、新たにペルオキシナイトライト(・ONOO-)の活性酸素毒性に対するH2による網膜組織神経保護作用を明らかにする。さらに眼球内の酸化ストレスの蓄積と減少を定量評価できる実験動物(マウス)を開発して、H2の抗酸化作用を時空間的に評価できる研究を行い、H2の作用点を見出すことを目的としている。 24年度は、ラットの網膜を眼球から組織のまま“まるごと”培養することで最大限に網膜の形態や機能を損なうことなく保ったまま、数日間培養することに成功した。この手法は、なるべくin vivoと同様な条件下にするため、培養フィルター上に網膜組織を靜置してフィルター下部から培養液が浸るように固定し、さらにフイルターごと培養液を揺らし続けることで、本来なら循環する血液による栄養素の補給するような条件下で器官培養を行い、H2の・ONOO-による網膜組織に対する酸化毒性を阻害する効果を検討する。次に、眼球内での酸化ストレスを直接検出するためのモデルマウスを作製中である。モデルマウスは、roGFP(生体内の酸化還元状態により蛍光が変化する緑色蛍光タンパク)を発現するトランスジェニックマウスで、一つはミトコンドリアへのターゲットシグナルを付加したミトコンドリア局在部位でroGFPを発現するMROマウスと細胞全体にroGFPが発現するCROマウスの2種類について検討中である。今後は、この2種類のトランスジェニックマウスの作製を確立して眼球内での酸化還元状態を解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網膜組織に対する酸化ストレスの蓄積と減少を形態学的および定量評価できるex vivoによる網膜組織の器官培養システムを確立した。また、眼球内の酸化還元状態を解析できるトランスジェニックマウスを作製中である。従って平成25年度の研究費は、当初より予定していた消耗品費(実験動物500千円、研究試薬200千円、プラスチック器具140千円)に加え、平成24年度からの繰越分100千円を研究試薬購入費に充当することとする。旅費、謝金等その他の使用計画は変更なし。
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今後の研究の推進方策 |
ex vivoによる網膜組織の器官培養システムを用いて、ラット眼球内の網膜組織とほぼ同様の条件下での・ONOO-に対するH2の抗酸化作用について検討していく。また、2種類のトランスジェニックマウスを作製して眼球内での酸化還元状態を解析していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
ex vivoによる網膜組織の器官培養システムを用いてのONOO-に対するH2の抗酸化作用についての検討と、2種類のトランスジェニックマウスの作製による眼球内での酸化還元状態を解析していく為に、平成25年度の研究費は当初より予定していた消耗品費に加え、平成24年度の繰越金200千円を研究試薬購入費に充当する。旅費、謝金等その他の使用計画の変更はない。
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