研究課題/領域番号 |
24500871
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
横田 隆 日本医科大学, 付置研究所, その他 (30445829)
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研究分担者 |
太田 成男 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00125832)
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キーワード | 酸化ストレス / 水素 / 抗酸化 |
研究概要 |
申請者らは、前回の研究で水素分子(H2)を溶解した水素水の点眼によってヒドロキシラジカル(・OH)を選択的に消去することで急性網膜障害モデルにおける神経保護効果を見出し、優れた抗酸化物質であることを証明した。本研究では、新たにペルオキシナイトライト(・ONOO-)の活性酸素毒性に対するH2による網膜組織神経保護作用を明らかにする。さらに眼球内の酸化ストレスの蓄積と減少を定量評価できる実験動物(マウス)を開発して、H2の抗酸化作用を時空間的に評価できる研究を行い、H2の作用点を見出すことを目的としている。 25年度は、ラットの網膜を眼球から組織のまま“まるごと”培養することで最大限に網膜の形態や機能を損なうことなく保ったまま、数日間培養することに成功した。この手法は、なるべくin vivoと同様な条件下にするため、培養フィルター上に網膜組織を靜置してフィルター下部から培養液が浸るように固定し、さらにフイルターごと培養液を揺らし続けることで、本来なら循環する血液による栄養素の補給するような条件下で器官培養を行い、H2の・ONOO-による網膜組織に対する酸化毒性を阻害する効果を検討した。次に、眼球内での酸化ストレスを直接検出するためのモデルマウスを作製中した。モデルマウスは、roGFP(生体内の酸化還元状態により蛍光が変化する緑色蛍光タンパク)を発現するトランスジェニックマウスで、一つはミトコンドリアへのターゲットシグナルを付加したミトコンドリア局在部位でroGFPを発現するMROマウスと細胞全体にroGFPが発現するCROマウスの2種類につい作製した。今後は、この2種類のトランスジェニックマウスを実験モデルとした眼球内での酸化還元状態の研究を遂行していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットの網膜を眼球から組織のまま“まるごと”培養することで最大限に網膜の形態や機能を損なうことなく保ったまま、数日間培養することに成功し、この器官培養組織片を用いてin vitroでのペルオキシナイトライト(・ONOO-)による活性酸素毒性による網膜組織のダメージに対して水素分子(H2)の神経保護作用を見出した。さらにこの現在までの結果をまとめて学術研究会にて報告した。
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今後の研究の推進方策 |
網膜組織へのペルオキシナイトライト(・ONOO-)による活性酸素毒性に対して水素分子(H2)の網膜神経細胞保護作用を証明する。さらに、その結果を国際学会での発表および海外学術誌への投稿を目的として随時、研究を進行させていく。また、roGFPトランスジェニックマウスを実験モデルとした眼球の網膜組織における紫外線や青色光線ダメージにおける酸化還元の変化における研究を進めて行く予定である。
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