研究課題
申請者らは、前回の研究で水素分子(H2)を溶解した水素水によってヒドロキシラジカル(・OH)を選択的に消去することで急性網膜傷害モデルにおける神経保護効果を見出し、優れた抗酸化物質であることを証明した。本研究では、新たにペルオキシナイトライト(・ONOO-)の活性酸素毒性に対するH2による網膜組織神経保護作用を明らかにする。さらに、眼球内の酸化ストレスの蓄積と減少を定量評価できる実験動物(マウス)を開発してH2の抗酸化作用を字空間的に評価できる研究を行い、H2の作用点を見出すことを目的としている。26年度は、マウスの眼球を網膜組織を生きたまま取り出して培養することで網膜組織の形態や機能を損なわずに、最大限に保たれたまま数日間培養することに成功している。この手法を用いて、生体内と類似の栄養状態を短期間保持することが可能となった。このex vivoによる条件下で・ONOO-の暴露によって生じた網膜組織内の酸化ストレスに対するH2の網膜神経細胞保護作用を形態学的および免疫病理組織学手法を用いて解析している。次に、眼球内での酸化ストレスを直接検出するためのモデルマウスを作製している。モデルマウスはroGFP(生体内の酸化還元状態により蛍光が変化する緑色蛍光タンパク)を発現するトランスジェニックマウスで、一つはミトコンドリアへのターゲットシグナルを付加したミトコンドリア局在部位でroGFPを発現するMROマウスと細胞全体に発現するCROマウスの2種類について作成している。現在は、この2種類のトランスジェニックマウスを実験モデルとした眼球内の網膜組織における酸化還元状態に関する研究を検討している。
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