研究課題/領域番号 |
24500872
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
加柴 美里 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (80338186)
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研究分担者 |
山本 順寛 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (60134475)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | プロサポシン / サポシン / ミトコンドリア / コエンザイムQ10 |
研究概要 |
コエンザイムQ10(CoQ10)はミトコンドリア電子伝達系の必須因子である。研究代表者らは、CoQ10結合蛋白質としてサポシンBを分離・同定した。本研究は、CoQ10結合蛋白質サポシンBのミトコンドリアCoQ10量調節機構と、その電子伝達系への関与の解明を目的とする。現在までに、遺伝子工学手法を用いて、HepG2細胞のサポシンB前駆体プロサポシンノックダウン細胞株(KD)と高発現株(Tf)とが樹立されている。細胞内のCoQ10量は、多い順に、Tf>コントロール株>KDであった。細胞のミトコンドリアを分画し、CoQ10量を解析したところ、多い順に、Tf>コントロール株>KDであった。CoQ10はミトコンドリア電子伝達系の必須因子である。CoQ10量が増加していた高発現株を用いて下記2種類の手法でミトコンドリア電子伝達系の機能を解析した。 1.酸素消費速度の解析:クラークタイプ酸素電極を用いて、細胞の酸素消費速度を解析した。結果、高発現株では酸素消費速度が上昇していることを見出した。 2.ミトコンドリア電子伝達系活性の測定:細胞からシュークロース‐マンニトール法を用いてミトコンドリアを分画し、文献(Method Enzymolozy (1996) 264: 484-509)に従い活性を測定した。結果、高発現株では電子伝達系速度が上昇していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載のごとく、サポシンBによるミトコンドリア電子伝達系の機能調節機構の解析が順調に進んでいる。解析内容としては下記を計画していた。 1.酸素消費速度の解析:クラークタイプ酸素電極を用いて細胞の酸素消費速度を解析する。 2.ミトコンドリア電子伝達系活性の測定:細胞からシュークロース‐マンニトール法を用いてミトコンドリアを分画し、文献(Method Enzymolozy (1996) 264: 484-509)に従い活性を測定する。 3.ミトコンドリア由来の活性酸素産生量の解析:蛍光プローブを用いて活性酸素の測定を行う。 1.および2.については、研究実績の概要に記したごとく既に解析を終え結果を得ている。3.については、測定手法の確立、測定条件の検討等が予定通りに進捗しており、次年度以降の解析が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度は、引き続きサポシンBによるミトコンドリア電子伝達系の機能調節機構の解析を行う。 1.酸素消費速度の解析:H24年度の解析に引き続き、クラークタイプ酸素電極を用いて細胞の酸素消費速度を解析する。H24年度の解析結果、プロサポシン高発現株では酸素消費速度が上昇していることを見出している。H25年度は、基質とインヒビターを用いてミトコンドリア電子伝達系のどのサイトにおける電子伝達が変動しているのかを解析する。さらには、プロサポシンノックダウン株を用いた解析もすすめる。 2.ミトコンドリア電子伝達系活性の測定:H24年度に引き続き解析をおこなう。細胞からシュークロース‐マンニトール法を用いてミトコンドリアを分画し、文献 (Method Enzymolozy (1996) 264: 484-509) に従い活性を測定した。H24年度の解析の結果、高発現株では電子伝達系速度が上昇していた。H25年度はノックダウン株でも同様の解析を行う。 3.ミトコンドリア由来の活性酸素産生量の解析:蛍光プローブを用いて活性酸素の測定を行う。 4.ミトコンドリア電子伝達系以外のエネルギー代謝動態の検討:H24年度の解析で、ミトコンドリア活性に変動が認められたので、解糖系や脂質代謝等、ミトコンドリア電子伝達系以外のエネルギー代謝動態も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度予定していた下記解析項目が、予備実験の段階までは終了したものの、本解析にはいたらなかった。 解析項目:ミトコンドリア由来の活性酸素産生量の解析(蛍光プローブを用いた活性酸素の測定)。 したがって、本解析に必要としていた蛍光プローブ代等(物品費)と、研究結果を報告するための旅費(旅費)がH24年度は未使用となっている。 H25年度は、H24年度未使用額を用いて、H24年度解析に至らなかった上記解析を行う。具体的には、物品費(細胞培養関係:細胞培養に必要なメディウム、抗生物質等の費用、および、蛍光プローブ代)と旅費(研究成果発表)に用いる。 H25年度請求額は、次年度実験予定の下記物品費として使用する。 1.細胞培養関係:細胞培養に必要なメディウム、抗生物質代 2.ミトコンドリア電子伝達系、蛍光物質、基質や阻害剤等の試薬代 3.解糖系や脂質代謝の基質や産生物の測定試薬代 4.細胞分画のマーカーエンザイム抗体代
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