研究課題/領域番号 |
24500872
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
加柴 美里 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (80338186)
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研究分担者 |
山本 順寛 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (60134475)
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キーワード | プロサポシン / サポシン / ミトコンドリア / コエンザイムQ10 |
研究概要 |
コエンザイムQ10(CoQ10)はミトコンドリア電子伝達系の必須因子である。研究代表者らは、CoQ10結合蛋白質としてサポシンBを分離・同定した。本研究は、CoQ10結合蛋白質サポシンBのミトコンドリア電子伝達系への関与の解明を目的とする。 現在までに、遺伝子工学手法を用いてHepG2細胞のサポシンB前駆体プロサポシンノックダウン細胞株(KD)と高発現株(Tf)とが樹立されている。細胞内のCoQ10量は多い順に、Tf>コントロール株>KDであった。細胞のミトコンドリアを分画しCoQ10量を解析したところ、多い順に、Tf>コントロール株>KDであった。CoQ10量が増加していた高発現株を用いて下記2種類の手法でミトコンドリア電子伝達系の機能を解析した。クラークタイプ酸素電極を用いて細胞の酸素消費速度を解析した結果、高発現株では酸素消費速度が上昇していることを見出した。また、細胞からシュークロース‐マンニトール法を用いてミトコンドリアを分画し文献(Method Enzymolozy (1996) 264: 484-509)に従い活性を測定した。結果、高発現株では電子伝達系速度が上昇していることを見出した。 本年度はミトコンドリアからの活性酸素の産生を解析すべく、コントロール株と高発現株の細胞内活性酸素量を蛍光プローブDCFH-DAを用いて解析した。 結果、プロサポシン高発現株でDCFH-DAの蛍光強度が低下しており活性酸素産生が抑制されていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画調書に記載のごとく、サポシンBによるミトコンドリア電子伝達系の機能調節機構の解析はほぼ順調に進んでいる。解析内容としては下記を計画していた。 1.プロサポシン高発現株の活性酸素量の解析:プロサポシン高発現株とコントロール細胞株の活性酸素量を比較検討する。活性酸素量測定は蛍光プローブDCFH-DAを用いて行った。 2.ミトコンドリア由来の活性酸素産生量の解析:蛍光プローブを用いて活性酸素の測定を行う。 1.については、研究実績の概要に記したごとく既に解析を終え結果を得ている。 2.については、測定手法の確立、測定条件の検討等をH25年度遂行しH26年度以降の解析が可能である。H25年度に予定していた2の解析が終了していないことから区分としては(3)やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリア由来の活性酸素量の測定がH26年度への持ち越し課題となったが、測定手法は既に確立されており問題はない。 プロサポシン高発現株の活性酸素量の解析は研究計画どおり遂行予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究進捗状況にも記載のごとく、蛍光プローブを用いたミトコンドリア由来の活性酸素測定実験の測定が、実験条件検討に手間取り、H26年度に持ち越されたため。 H26年度へ持ち越された、蛍光プローブを用いたミトコンドリア由来の活性酸素測定実験の測定に必要な試薬代として使用する。 未使用額148万円は、蛍光プローブ代と、ミトコンドリア分離試薬、ミトコンドリア解析試薬、さらには、培養細胞維持費用(メディウム、血清、ディスポピペット、遠沈管、マイクロチップ、カルチャーディッシュ代等)にもちいる。またミトコンドリアCoQ量を解析するために用いるHPLC用有機溶媒代とする。 また、26年度請求額70万円は、当初の予定どおり、細胞培養試薬、ミトコンドリア解析試薬、HPLC用溶媒、蛍光試薬、遠沈管等に用いる。
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