研究課題/領域番号 |
24500876
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
山田 久夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (00142373)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 運動 / 海馬 / ニューロン新生 / 遊具型トンネル / マウス |
研究概要 |
初年度はとくに「傾斜付トンネル自由歩行実験」を集中的におこなった。 すなわち、給餌器付きのケージと、BrdU (1mg/ml)を含む飲料水付の小型ケージの間を、直径5cm 長さ50cm の塩化ビニル製の管でつなぎ、この実験遊具トンネル内にマウス通過を感知する電子カウンターを設置した。トンネルの角度を0 度(水平)または小型ケージを上にした45 度、90 度(垂直)とし、マウス(CL57BL/6、8週齢雄)を自由行動・自由飲食させた。14日間、歩行徘徊によるトンネル通過回数をカウントした後、かん流固定し、脳標本に組織化学法を施してBrdU摂取細胞を顕微鏡下に明らかにした。恒常的細胞増殖がおこなわれ、かつ学習に関わるとされる海馬歯状回領域を対象に、単位面積当たりのBrdU 摂取細胞数(分裂増殖した細胞=新生ニューロン)をカウント、トンネル通過回数・上下距離・マウスの体重から算出した運動エネルギー量と比較したところ、新生ニューロン数は運動エネルギー量に相関して増加することが判明した。なお、飲料から摂取したBrdUの量は有意差は認められなかったが、それぞれカウントした細胞数には有意差が認められた。また、マウスの走行距離は0度のトネンルで飼育したマウスが一番大きかったが、運動エネルギー量は45度、90度の順に大きくなっていた。 すなわち、運動エネルギー量に依存して、海馬歯状回でのニューロン新生が増加するものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験そのものはきわめて順調に推移している。 平成24年度末~25年度に予定されていた所属大学キャンパス移転に伴う 実験中断期間および動物実験施設・共同利用施設の使用不能期間が、建築早期完成のため前倒しになったことから、24年度は「傾斜付トンネル自由歩行実験」を例数を限って集中的におこなうなど、実験計画の実施手順を少々変更して対応した。しかしおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果から、「傾斜付トンネル自由歩行実験」についてはほぼ成果が得られたと考えているが、例数を増やして統計的有意差を明らかにしたい。また、成果公開のために論文執筆および国内・外での学会発表をはかる。「ランニングローター走行実験」「強制的水浴実験」についても実験を開始する。一方、並行して行っている実験から末梢神経系の神経系細胞増殖についても興味ある知見が得られたので、海馬領域に限らず、身体活動と神経系細胞新生との関係も明らかにしていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
大学移転に伴う動物実験休止期間(25年度に予定)が24年度に前倒しになり、当該実験の一部を25年度に回したため、24年度の余剰分経費は25年度に使用させていただくことになる。全体として遅れはなく期間内に計画通り行う予定である。
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