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2012 年度 実施状況報告書

認知機能や情動行動に及ぼす酸化ストレスの影響

研究課題

研究課題/領域番号 24500877
研究種目

基盤研究(C)

研究機関兵庫医科大学

研究代表者

鈴木 敬一郎  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70221322)

研究分担者 藤原 範子  兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10368532)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードSOD / 酸化ストレス / 加齢 / 行動
研究概要

本研究の目的は、老化や生活習慣病に関与する酸化ストレスが脳機能にどのような影響を及ぼすのかを解明することである。我々の生体には酸化ストレスから身を守るために、多くの抗酸化酵素や抗酸化物質が存在する。中でもCu/Zn-superoxide dismutase(Cu/Zn-SOD以下SOD1)は生体にとって有害なスーパーオキシドを代謝する酵素で、酸化ストレスから生体を守る重要な役割を果たしている。このSOD1をノックアウト(KO)したマウスは、骨格筋の萎縮や難聴、加齢黄斑変性症などの老化現象に似た症状を呈する。脳内もSOD1が欠損することで、スーパーオキシドや種々の活性酸素が蓄積し、酸化ストレスの強い環境に曝されていると考えられる。加齢に伴う種々の神経変性疾患や認知症には酸化ストレスの関与が疑われているが、その詳細はまだ明らかではない。平成24年度は、酸化ストレスの亢進が、学習能力や情動行動にどのような影響を与えているのかを明らかにする目的で、まず若年齢の生体マウスを用いて行動学試験を行った。12週齢のSOD1KOマウスと野生型マウスとを比較したところ、自発的活動量、驚愕反射、受動的回避行動試験では有意な差は見出されなかった。今後は、酸化ストレスがさらに亢進していることが予想される老齢のSOD1KOマウスを用いて行動学試験をしていく予定である。また、行動学実験に用いたマウスより採取した脳を用いて、脳各部位におけるモノアミン量の測定と脳内モノアミン代謝酵素およびトランスポーターの発現量などの解析を現在進めているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

あまり差が認められなかったとはいえ、SOD1KOマウスとWTマウスの行動試験の結果を得ることができた。また、脳内モノアミン代謝酵素およびトランスポーターの発現量などの解析を始めることができている。

今後の研究の推進方策

SOD1KOマウスとWT-マウス(6ヶ月から1年齢、一群を5匹とする)を用いて、自発的活動量、驚愕反射、モーリスの水迷路、シャトルボックス回避学習試験などの行動学実験を行なう。動物の行動は性ホルモンの影響を受けるので、実験には雄マウスだけを用いる。
1. 行動学実験終了後、SOD1KOマウスおよび野性型マウスの脳を部位別に分け、微量天秤で重量を測り、すぐに液体窒素で凍結し、マイナス80℃で保存する。
2. 各脳部位を酸性バッファーで除タンパク処理し、上清中のモノアミン(ドーパミン系およびセロトニン系の神経伝達物質とその代謝物)の定量を行う(HPLC法による)。さらに脳内の鉄や銅の含有量を測定する(原子吸光分析法による)。
3. モノアミン合成酵素、モノアミンレセプター、モノアミントランスポーターの発現量は、各脳部位からmRNAを取り出し、リアルタイムPCR法で定量する。脳の組織切片を作製し、mRNAの発現量に変化のあった分子の免疫組織染色を行なう。
4. 神経細胞やミクログリア細胞(BV-2 cells)に酸化ストレスを与え、モノアミン合成、分解、輸送、受容に関与する遺伝子が変化するかどうかをリアルタイムPCRやウエスタンブロッティングで検討する。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額の研究費が生じた理由は、計画どおりの予算より少ない額で研究が達成できたためである。
細胞培養用の血清や培地、ディッシュなどのプラスチック製品、ウエスタンブロットやELISAに用いる抗体やイムノプレート、リアルタイムPCRの遺伝子実験試薬などは本研究の遂行に必須である。これらは消耗品の生化学実験試薬として購入する。また学会発表や論文作成のための費用に使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Solution 17O-NMR approach for observing an oxidized cysteine residue in Cu,Zn-superoxide.2013

    • 著者名/発表者名
      Hanashima S, Fujiwara N., Matsumoto K, Iwasaki N, Zheng G-Q, Torigoe H, Suzuki K, Taniguchi N, Yamaguchi Y.
    • 雑誌名

      Chem. Commun.

      巻: 49 ページ: 1449-1451

    • DOI

      10.1039/c2cc36918d

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Alterations in renal iron metabolism caused by a copper/zinc-superoxide dismutase deficiency.2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshihara D., Fujiwara N., Kato S., Sakiyama H., Eguchi H., Suzuki K.
    • 雑誌名

      Free Rad. Res.

      巻: 46 ページ: 750-757

    • DOI

      10.3109/10715762.2012.673223

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structural switching of Cu,Zn-superoxide dismutases at loop VI: Insights from the crystal structure of 2-mercaptoethanol modified enzyme.2012

    • 著者名/発表者名
      Ihara K., Fujiwara N., Yamaguchi Y., Torigoe H., Wakatsuki S., Taniguchi N., Suzuki K.
    • 雑誌名

      Biosci. Rep.

      巻: 38 ページ: 539-548

    • DOI

      10.1042/BSR20120029

    • 査読あり
  • [学会発表] TWO FORMS OF LOOP VI INCLUDING REACTIVE CYS111 OF HUMAN COPPER-ZINC SUPEROXIDE DISMUTASE2012

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara N, Ihara K, Kato S, Yoshihara D, Eguchi H, Sakiyama H, Suzuki K.
    • 学会等名
      13th International Congress of Biochemistry and Molecular biology 2012 (FAOBMB CONGRESS)
    • 発表場所
      Bankok, Thailand
    • 年月日
      20121125-20121129
  • [学会発表] ヒトSOD1二量体のループVIは非対称構造を有する2012

    • 著者名/発表者名
      藤原範子、伊原健太郎、山口芳樹、若槻壮市、谷口直之、鈴木敬一郎
    • 学会等名
      第65回日本酸化ストレス学会学術集会
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      20120607-20120608
  • [学会発表] SOD1欠損が腎臓の鉄代謝に与える影響2012

    • 著者名/発表者名
      吉原大作,藤原範子,加藤信介,崎山晴彦,江口裕伸,鈴木敬一郎
    • 学会等名
      第65回日本酸化ストレス学会学術集会
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      20120607-20120608
  • [学会発表] 変異型SOD1に対する新規モノクローナル抗体の反応性2012

    • 著者名/発表者名
      野口隆弘,藤原範子,鴨田信子,北野隆之,武内悠希,吉原大作,崎山晴彦,江口裕伸,鈴木敬一郎
    • 学会等名
      第59回日本生化学会近畿支部例会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20120519-20120519

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公開日: 2014-07-24  

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