研究実績の概要 |
【目的】心血管病においてレジスタンス運動(RE)の安全性を確認し、心血管病予防に適したREプログラムを作成する。【対象】心血管病で入院中の運動療法が必要な患者 【方法】[急性効果の測定] REは、上肢:肘関節の屈曲と伸展 20%1RM、下肢:膝関節の屈曲と伸展30%1RM 右左各20回として各々2-3セットを1回とする。1回のREの前・直後・15分後、30分後に採血を行った。[慢性効果の測定]対象を有酸素運動(AE)群(15名)、AE+RE群(17名)に振り分け、監視下にトレーニングを4週間実施した。トレーニング期間終了後、急性効果の測定を再度行った。 [血液検査項目]酸化ストレスの測定には FRAS4 (Diacron International,Italy)を用いた。d-ROM(Reactive Oxygen Metabolites test)を全血中のフリーラジカルレベルの指標、BAP(Biological Antioxidant Potential test)を抗酸化力の指標、BAP/d-ROMを酸化ストレスの指標とした。 【結果】[急性効果] 1回のRE運動前後において酸化ストレス指標に有意な変化は認めなかった。[慢性効果] AE+RE群において、dROMには変化を認めなかったがBAPが有意に低下し、酸化ストレス指標(BAP/dROM)は有意に改善した。AE 群においてはBAP/dROMに変化は認めなかった。 【結語】有酸素運動にレジスタンス運動をあわせて行なうことにより、抗酸化力が向上し酸化ストレスを軽減する可能性が示唆された。今回の研究で用いた20-30%1RM程度のレジスタンス運動を有酸素運動に追加して運動トレーニングを実施することにより心血管病リスクの軽減と予防効果が期待される。
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