研究課題
本研究では、ファザーリングから現代の保育課題を構造的に捉えるために就学前児の父親が有する父親役割認識、獲得している知識・スキル、子育て関与実態とその影響要因を生活文化的文脈から探り、教育支援を問い直すことを目的としている。この生活文化的な探求と教育支援の検討に際しては、より相対化した考察・分析のために中国との比較を行い、実証的な検討を進めた。具体的な実績は、大きく二つにわけられる。一つは、質問紙調査・インタビュー調査実施であり、平成24年度は、日本・中国の父親の子育て関与に関する調査内容を検討・確定した。国際比較研究においては、近似した属性の対象者選定が重要であるため、本研究では、首都圏在住の父親を対象とした。平成25年度は、東京近郊と上海近郊において、就学前の子どもをもつ父親に対して、質問紙調査(日本108名・中国117名)とインタビュー調査を実施した。もう一つは教育支援の資料収集と調査である。平成24・25年度に、日本の学校教育(中・高・大学)と地域行政主導の子育て中の親への教育支援の実施状況把握を中心に進めた。後者については、ガイドブック等の子育て支援情報の発信や、教育的支援の具体策としての企画・講座の実施状況に関して、全国の市町村に対し、多規模な調査を実施し、42県庁所在地・6市・32町・3村から回答や資料の送付が得られた。平成26年度は、平成24・25年度に得られた成果の公開と意見交換のために、国際シンポジウムを企画・実施した。シンポジストとして、中国からの関係研究者・父親の子育ての国際比較調査を実施したベネッセからの関係研究者・日本の父親の子育て支援NPOからの関連研究者などを招聘した。本研究での成果と、ここでの各シンポジストからの発表、意見交換の内容を集約してパンフレットを作成した。
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