研究課題/領域番号 |
24500894
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
斎藤 悦子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (90298414)
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キーワード | 企業の社会的責任 / 企業倫理 / ジェンダリング / 再生産領域 / ケアの倫理 |
研究概要 |
本研究はワーク・ライフ・バランスやディーセントワークの実現を企業の社会的責任の観点から生活経営学的アプローチによって解明することを目的としている。生活経営学的アプローチとは、企業のステイクホルダーである生活者が、企業とどのような関係性の中で生活を営んでいるのかを、家庭を中心とした再生産領域から探ることである。 平成25年度は、国連と内閣府が推進している企業における女性の活躍のためのガイドライン(WEPs Women's Empowerment Principles 女性のエンパワーメント原則)に署名をしている企業をとりあげ、それらの企業のCSR報告書分析を実施した。その結果、WEPs署名企業のCSR報告書には、非署名企業より男女平等への配慮やワーク・ライフ・バランス施策が多く記述されていた。さらに、WEPs署名企業1社について、CSR報告書、WEB情報をもとに企業倫理のジェンダリング分析を行い、再生産領域への配慮とケアの倫理という概念を見出した。 企業の再生産領域への配慮やケアの倫理は、企業のダイバーシティのあり方や組織のインクルージョンの取り組みの程度を決定することになる。日本政府も企業内での女性の活躍を推進するための方策に取り掛かり始めており、男女がワーク・ライフ・バランスを果たしながら、生活するために、これまで企業で問題とされてこなかったこれらの概念の検討は重要である。平成25年度の研究では、今後の本研究を方向づける重要な概念を見出すことができた。以上の研究成果は、日本経営倫理学会2013年度大会で報告し、『日本経営倫理学会誌』第21号に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
来年度の調査に向けて、本研究の柱となる概念を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
企業のCSR報告書分析と企業倫理のジェンダリング分析によってワーク・ライフ・バランスやディーセントワークのあり方は、当該企業の従業員の再生産領域への配慮や企業倫理にケアの倫理が含まれるか否かによることが大きいことが明らかになった。 今後は、女性の活躍を推進するWEPs原則に署名している企業の従業員へ生活時間調査を実施し、その実態を把握する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度に調査を実施するため、本年度は支出を抑制し、次年度使用額とした。 企業の従業員を対象に生活時間調査を実施する。 (1)生活時間調査は平日の1日をとりあげ、雇用形態、家族形態、性別に分類して24時間の時間使用の記入を依頼する。(2)さらに、調査協力者で特徴的な者に対して、インタビューを実施する。これらの調査費用、調査分析費用として使用する。
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