研究課題/領域番号 |
24500894
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
斎藤 悦子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (90298414)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | CSR / ISO26000 / 生活者 / ワーク・ライフ・バランス |
研究実績の概要 |
CSRの国際規格であるISO26000を用いて、ステイクホルダーエンゲージメント(企業と生活者の対話と協働)を深めるための条件について検討した。日本企業の多くは、ステイクホルダーとしての消費者に焦点を当てて、ステイクホルダーエンゲージメント活動を実践している。消費者は、生活者の一側面にすぎないが、2014年度はISO26000の消費者課題への企業の取り組み方を分析した。さらに、CSRと雇用の関係性について、最低賃金制度、非正規雇用のあり方、ブラック企業問題から考察した。ISO26000において、雇用を含めた人権問題も規格内容に含まれるが、この点については企業側も生活者側も取り組み方が不足している。これらの研究成果は、2015年4月出版の『ジェンダーで学ぶ生活経済論』(伊藤純、斎藤悦子編著)の第3章「労働環境の現状と企業の社会的責任」、終章「生活の質の向上と持続可能な社会の実現に向けて」にまとめた。 本研究のキーワードとして挙げた「ワーク・ライフ・バランス」については、企業内での女性の働き方が、本人、世帯員の「ワーク・ライフ・バランス」に大きく影響する。日本企業の女性の処遇の現状について、各種統計を用いて分析・検討した。政府の掲げている「女性の活躍」が実際の女性労働の場でどのように作用しているのか。コーポレートガバナンスは、CSRと密接に関係するため、コーポレートガバナンスの視点からも日本企業の現状を明らかにした。この結果は2015年4月出版の『男女共同参画データブック2015』(男女共同参画統計研究会編)の第5章「企業」の1部となっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度にはワーク・ライフ・バランス分析のために、生活時間調査を実施する予定であったが、調査先が確保できずに実施できなかった。しかし、2014年度内に新たな調査先を確約することができた。2015年度には生活時間調査を実施する予定である。2015年度に行うことになっていたISO26000についての検討を2014年に実施したので、おおむね順調に進行していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
2015年度には、ワーク・ライフ・バランスを検討するために、世帯別の生活時間調査を実施する。現在、調査準備はほぼ完了している。調査実施後に、世帯別の生活時間の特徴を抽出し、それに基づき、当該企業のCSR政策を検討する。2016年度には、今年度の調査結果を踏まえ、全体をまとめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2014年度は生活時間調査を実施する予定であり、そのために費用を計上し、準備を進めてきた。しかし、2014年8月に調査対象であった企業から調査辞退の申し出があり、実施することが困難になった。従って、調査費用が次年度使用額となっている。
|
次年度使用額の使用計画 |
2014年度に努力して新たな調査先を見つけた。2015年度に調査を実施する。次年度使用額は2015年実施の生活時間調査の費用とする。
|