研究課題/領域番号 |
24500898
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
李 キョンウォン 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (90263425)
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研究分担者 |
森田 美佐 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20403868)
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キーワード | しつけ / 児童虐待 / しつけと称した虐待 / 教員養成課程 / 国際比較 / 日本 / 韓国4 |
研究概要 |
本研究の目的は、日本と韓国の教員養成課程の大学生におけるしつけと虐待に関する意識を明らかにすることである。教員養成課程の大学生におけるしつけと虐待についての認識、子ども虐待に関する知識の有無や程度を明らかにするとともに、生育環境と認識との関連性を明らかにすることである。 2013年度には,日本と韓国の教員養成課程の大学生を対象に「しつけと虐待に関する意識調査」を行った。調査の概要と現在まで明らかになった分析結果を日本,韓国の順でまとめる。まず,日本では,2013年10~2014年1月までの間に教員養成課程を持つ14大学の協力を得て調査を実施(調査票配布数1,761,有効回収票数1,238(有効回収率70.3%)),韓国では,2013年10月~12月の間に教員養成課程を持つ大学6校の協力を得て,大学生を対象に質問紙調査を行った(調査票配布数1,510,有効回収票数1,394(有効回収率92.3%))。分析内容は,「しつけと虐待の経験」「しつけと虐待の認識」「生育環境」「児童虐待関連の知識」「教育を受けた経験の有無」等である。分析結果,日本の教員養成課程の大学生の多くは,しつけのつもりであっても,子どもの心や体を傷つける行為は虐待になると考えていた。しかしながら,その認識の判断基準には,かれらがどのような家族のもとで育ち,どのようなしつけや虐待を受けたのかということが少なからず影響していた。韓国の大学生の多くも,しつけとしての体罰を容認する一方,たとえしつけ行為でも子どもの心や体を傷つける行為は虐待になると考えていた。さらに,しつけとしての体罰を容認する大学生は,容認しない大学生に比べて,様々な行為をしつけとして行ってよいと考えていることが明になった。今後は,詳細な分析を含め,分析結果に基づいて,両国において虐待を防止,早期発見するだけでなく,しつけと称した虐待をなくすためにどのような対策が必要であるかを考察したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本と韓国の両国において研究計画通り,教員養成課程の大学生を対象とする意識調査を実施し,現在分析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
両国において研究計画通り教員養成課程の大学生を対象とする意識調査を実施したので,分析を進め,その研究成果を学会発表,論文発表する予定である。 現在,発表を予定しているのは,1. 李璟媛・呉貞玉・森田美佐,「韓国の教員養成課程の大学生におけるしつけと虐待に関する認識」(日本家政学会(2014.5.25,北九州国際会議場)),2. 森田美佐・李璟媛・呉貞玉,「子どものしつけ・虐待と家庭科教育」(日本家庭科教育学会(2014.6.28,岡山大学))である。
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