研究概要 |
「島における高齢期生活の持続可能性の研究」と題して、炭鉱閉山の島をフィールドに調査研究を継続している。平成25年度は、足掛け7年になる。島での高齢者生活の「よりよいあり方」を探求している。 本年度も、フィールドである長崎市のA,B,C島に2度の調査に赴いた。B島については、市が「ウォーキング」のプランをたて、島への集客を模索していることを知り、参加した。また、炭鉱閉山の島ではなく、長崎県佐世保市の離島(黒島)を再訪した。島の面積は3島よりも広いものの、人口はA島と同じ規模である。3島は炭鉱閉山の島として比較しながら調査に臨んでいたが、黒島を知るにつけ、むしろ共通する事柄が明らかとなった。 しかしながら、私たちの真の調査研究目的は、A島にあり、改めて『炭鉱閉山の島から学んだこと 長崎県高島における学際的地域研究の試み』(高島町地域保健研究会 代表齋藤寛 1991年8月)の研究成果に学びたいと考えている。A島では、当初の面接調査において、島の高齢者から、市への併合による行政サービスの低下、公設市場の縮小による生活必需品の入手が困難になったことなど、多くの生活上の不満が聞きかれた。これより5年以上が経過したところで、過疎化、高齢化は進んでいるが、島の高齢者は自立的に、また生き生きと生活されている。行政主導ではあったが、地域高齢者の支えあうネットワークも機能している実態もみえてきた。 本研究期間は後1年を残すところに来ているが、これまでの研究成果を本として詳細に報告したいと考え、編集作業にとりかかっている。
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