研究課題/領域番号 |
24500909
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
齋藤 政子 明星大学, 教育学部, 教授 (90279810)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 3歳未満児保育 / 保育環境 / 生活主体 / 心理的拠点 / 1,2歳 / 乳児院 / 保育所 / もの・空間 |
研究概要 |
当該年度は、3歳未満児の保育環境において、「ひと」と「もの」「場所・空間」がどのように機能して3歳未満児の生活主体形成を促すのかを明らかにするために、まず保育所における新入園児の慣れ過程のVTR録画を分析し、慣れの中でみられる行動の中で特に「泣き」に注目し、その出現と前後の行動との関連の中から、「泣き」を調節する役割を果たす「ひと」と「もの」の役割について分析した。新入園児は、担当保育者との接触だけでなく「おもちゃ」やままごとコーナーの「場」においてお気に入りを見つけ、そこに自ら移動し接触することによって「泣き」をコントロールしていることがわかった。 また、乳児院調査については、D乳児院における2008年度から2012年度までの保育環境に関する会議記録をテキストマイニングによって分析し、保育者の保育環境と子どもの遊びに関する意識がどのような変容を遂げているのかについて分析した。2009年から2012年にかけての発言は以下のように変化した。①頻出単語が「おもちゃ」「収納」から「子ども」「おもちゃ」「収納」「おとな」へ変化②「子ども」を係り元単語とする発言の増加③発言内容に「静と動」「自発性」「見通し」など子どもの遊びや発達と関連させて考える言葉が増加。つまり、おもちゃを収納することではなく、そのおもちゃをどのように子どもが遊ぶのか、また子どもはその遊びの中で何を育てるのかに関心が移っていることが示唆された。 さらに、D乳児院職員、F乳児院職員へインタビューを行い、乳児院1,2歳児における保育室環境のあり方や配慮事項を調査した。これは、次年度の質問票の作成に活かす予定である。 次年度は、乳児院における3歳未満児、特に1,2歳児の保育室環境について、主体形成を促す配慮がどのように行われているのかをみるために、保育者に対する質問紙法における意識調査を実施していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
乳児院職員へのインタビューは、当初の予定では、3月に行う予定であったが、実施できなかった。また、乳児院の全国乳児福祉協議会へ参加し、質問紙法による調査への協力を依頼するなどの準備は進めてあるが、全国乳児院へ送付する質問票の作成が遅れている。そのため8月には、遅れを取り戻し実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
乳児院への質問紙法による調査について、まず質問票を作成し、8月に送付の準備を行う。その際、全国乳児福祉協議会に再度連絡をとる。 乳児院職員へのインタビューについて、D乳児院と日程調整を行い、質問紙法による調査を受けて、どのような意図で書いたのか、これまでの保育室環境への取り組みの中でどのような気持ちの変化がみられたのかについて聞き、冬に行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
以下の支出を予定している。 1.全国乳児院への調査のためのの質問票送付関連の費用 2.インタビュー調査協力のための謝礼、乳児院職員あるいは、保育所職員 3.データ集計のためのパソコン など
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