研究課題/領域番号 |
24500909
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
齋藤 政子 明星大学, 教育学部, 教授 (90279810)
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キーワード | 3歳未満児 / 保育所 / 乳児院 / 保育環境 / 主体形成 / 生活活動 / 遊び / もの・空間 |
研究概要 |
保育所と設置目的の違う乳児院においても、3歳未満児を対象とした保育が行われている。そこで当該年度は、乳児院の保育環境における「ひと」「もの」「空間」がどのように保育者に認識されているのかなどについて実態と重要度に関する質問紙法による調査を、全国の乳児院131か所を対象に行った。その際、子どもにとって遊びを刺激し心を和ませる「もの」である「おもちゃ」や「空間」がどのように整備されているのか、保育者や専門職員の配置状況はどうなのかなどについても施設長・主任を対象に調査を行った。調査結果は、エクセルによってデータ入力を行った。131院中105院(回収率80%)から回答があり回答者は保育者1460人、施設長103人であった。 また、神奈川県のある乳児院において18人の保育者に対して半構造化面接法による面接調査を行い、その音声データを逐語化した。この研究計画は明星大学研究倫理委員会の承認を得た(H25-002)。これらの量的データ、質的データを平成26年度に分析・考察し、学会発表を行っていきたいと考えている。 保育所における3歳未満児保育担当者を対象に行った質問紙法による調査の結果は、保育環境における「もの・空間」に対する意識を中心に分析を行い、日本家政学会に投稿した。日本の保育者の意識には「保育者の視野の広さが反映された環境」「日常のケアのための十分な環境」「安心感のある快適な環境」「子どもの主体性に配慮された環境」の四つの因子が潜在的に存在することが示唆された。2014年6月号に掲載予定(現在印刷中)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度行う予定であった乳児院職員および施設長への質問紙法による調査や乳児院職員への直接的な面接調査が遂行でき、しかも回収率も高く貴重なデータが得られたため、おおむね順調に進展していると考えることができる。
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今後の研究の推進方策 |
3歳未満児保育は乳幼児のケアと教育を一体的に提供するECECの理念を持ったものでありながら、日本ではその重要性に対する認識がまだまだ高いとはいえない。したがって、その背景となる保育の歴史や幼稚園制度との関連などについても理解しておくことが必要であり、それらについての研究も同時並行的に行っていきたいと考えている。また、先進国の中で質の高い乳幼児保育を展開しているとされる北欧やレッジョエミリアの保育についても比較研究していきたい。 また、全国の保育所・乳児院の保育者からの貴重なデータを有効に活用するべく今年度は分析を進めていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に行った乳児院への質問紙法による調査については、単純集計結果をまとめ、お礼状とともに回答をいただいた園へ送付する予定であったが、集計作業に手間取りお礼状を送ることができなかった。 調査に協力をいただいた乳児院へお礼状と単純集計結果をお送りする。その際、当初の予定通り謝礼として乳児用おもちゃを一か所にひとつずつ送付する。また、全国の乳児院名簿について手配いただいた全国乳児福祉協議会へも謝礼をする。また、乳児院の保育環境に関する量的・分析データの学会発表・論文投稿を行う。
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