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2012 年度 実施状況報告書

衰退する伝統産業と関連生活景観の観光資源化による維持・保全に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24500911
研究種目

基盤研究(C)

研究機関滋賀県立大学

研究代表者

藤木 庸介  滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (70314557)

研究分担者 上田 香  京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 講師 (50510583)
向坊 恭介  立命館大学, 理工学部, 助教 (80512748)
宗本 晋作  立命館大学, 理工学部, 准教授 (20581490)
平尾 和洋  立命館大学, 理工学部, 教授 (00252479)
真板 昭夫  京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 教授 (80340537)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード中国 / 雲南省
研究概要

平成24年度は、有松の竹田嘉兵衛商店が保有する絞り文様の調査、並びに、有松町並み保存地区におけるアイマークカメラを使用した、来訪者の注視点と町並み印象に関する調査を主に行った。
竹田嘉兵衛商店は、当地の開祖である竹田庄九郎の直系の子孫が営業を行う絞り販売業者であり、当該商店には開業時からの絞りが保存されている。本年の調査では、こうした絞りの内、特に重要性が高いと竹田嘉兵衛商店側から推薦のあった220点に対し、高性能スキャナーの使用によるデジタルアーカイブ化を行った。また、現・竹田嘉兵衛氏の実弟で、本邦における絞り研究の第一人者であり、調査対象とした絞りの実質的な管理者である竹田耕三氏に対してヒアリングを行った。これにより、各絞りの文様、技法、特徴、並びに製作された時代等を明らかにし、これをデータベース化した。尚、こしうしたデータベース化は、竹田嘉兵衛商店のみならず、他の事業者や有松鳴海絞会館に保存されている絞りに対しても、これまでに行われた事が無い事から、絞りに関連する研究を進める上で、有用且つ、重要なデータベースと成り得るものである。
一方、有松町並み保存地区におけるアイマークカメラを使用した、来訪者の注視点と町並み印象に関する調査では、予め、当該保存地区の町並みを歩行速度で移動しながら撮影した動画を準備し、これを人の視界に同調させた上で被験者に見せ、擬似的に町を散策しながら町並みを眺められる環境を用意した。この際、映像をアイマークカメラを使用して被験者に見せる事で、町並みに対する注視点を抽出した。当該調査についても、当地においてこれまで行われた事は無く、有松の町並みを評価する上で有用、且つ重要なデータベースと成り得るものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「絞り技術と職人文化」について、当初の計画以上に進展してると考えられる。特に竹田嘉兵衛商店と竹田耕三氏の全面的な協力により、江戸期における絞り産業の創成期や明治・大正期の隆盛期における絞り文様とその技術について、多数を収集する事に成功している。また、戦後の絞り産業の衰退時における当時の絞り制作に関する職人の分業制の変遷や、その生活習慣の変容等についても、実情を詳しく把握するに至った。
「伝統的民家と歴史的町並み」についても、概ね順調に進展していると考えられ、これは研究実績の概要に既述したとおりである。
尚、「祭礼と住民結束意識」に対する調査についてであるが、当地の「重要伝統的建造物群保存地区」選定へ向けた名古屋市による調査が、当該年度より開始された為、名古屋市による調査に筆者らは協力する立場を取り、筆者らが取得したデータの公表は当面控える事とした。ただし、これらのデータは名古屋市に対して全面的に提供を行うものであり、当該調査結果と、伝統的民家に関連する調査結果の一部については、以降に公表される、名古屋市による「重要伝統的建造物群保存地区」に対する調査報告書に掲載される見込みである。

今後の研究の推進方策

25年度においては、戦後の絞り産業の衰退に関連する、絞り事業の中国への下請けについて、その実情を調査する見込みである。また、24年度において取得したデータに対する分析を随時進めると共に、竹田嘉兵衛商店が保有する絞りの追加調査、並びに、他の業者や有松鳴海絞会館が保有する絞りについても、調査を行う予定である。
絞り事業の中国への下請けに関連する調査では、当時の下請け事業を仲介した人物とコンタクトを既に取っており、中国の下請け先への協力要請を行った上で、実際に訪問し、ヒアリング調査、並びに各種の文献、絞り文様の実物等を収集する予定である。また、下請け産業が中国へ流入した事に伴う、当地の人々の生活様態の変容も明らかにしたいと考えるものである。
以上から、25年度からは物品流通と経済システムを専門とする研究者を新たな研究協力者に加え、より専門的で高度な分析の実施を予定している。

次年度の研究費の使用計画

25年度の研究費使用計画としては、既述より、主に中国への渡航に対して研究費を執行する事を予定している。また、当地での通訳を昨今の社会情勢により、日本に留学中の中国人学生へ依頼する事を予定しており、当該通訳者の渡航費、並びに謝金についても研究費を充てるものである。
また、有松での追加調査も予定するものである事から、国内旅費に対しても研究費を執行する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 有松絞りのデジタルアーカイブ作成とその分析および活用2013

    • 著者名/発表者名
      上田香、藤木庸介
    • 雑誌名

      京都嵯峨芸術大学紀要

      巻: 第38号 ページ: pp.23-33

  • [雑誌論文] 名古屋市緑区有松地区における防災意匠の現状調査2012

    • 著者名/発表者名
      平尾和洋、岡田晃佳、仲辻浩輔、北山めぐみ、藤木庸介、向坊恭介
    • 雑誌名

      歴史都市防災論文集

      巻: Vol.6 ページ: pp.37-44

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 名古屋市有松地区における明治期の伝統的木造建築物の構造的特徴2012

    • 著者名/発表者名
      向坊恭介、井上成人、北山めぐみ、藤木庸介、平尾和洋
    • 雑誌名

      歴史都市防災論文集

      巻: Vol.6 ページ: pp.67-72

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 名古屋市有松町並み保存地区における修理・修景事業の評価と課題 - 伝統的居住文化の維持・保全と観光開発の共生に関する研究その 12 -2012

    • 著者名/発表者名
      北山めぐみ、藤原佑樹、久木真代、平田隆行、藤木庸介
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術講演梗概集

      巻: 2012 ページ: pp.737-738

  • [雑誌論文] 名古屋市有松町並み保存地区におけるファサード意匠の整備実態 - 伝統的居住文化の維持・保全と観光開発の共生に関する研究その 13-2012

    • 著者名/発表者名
      小倉剛、藤原佑樹、久木真代、北山めぐみ、平田隆行、藤木庸介
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術講演梗概集

      巻: 2012 ページ: pp.739-740

  • [雑誌論文] 歴史的文化資源の観光利用に関する研究・愛知県内東海道沿いを対象として - 伝統的居住文化の維持・保全と観光開発の共生に関する研究その 14-2012

    • 著者名/発表者名
      久木真代、藤原佑樹、北山めぐみ、平田隆行、藤木庸介
    • 雑誌名

      日本建築学会大会学術講演梗概集

      巻: 2012 ページ: pp.391-392

  • [学会発表] 名古屋市有松町並み保存地区における修理・修景事業の評価と課題 - 伝統的居住文化の維持・保全と観光開発の共生に関する研究その 12 -

    • 著者名/発表者名
      北山めぐみ、藤原佑樹、久木真代、平田隆行、藤木庸介
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 発表場所
      日本建築学会大会 東海
  • [学会発表] 名古屋市有松町並み保存地区におけるファサード意匠の整備実態 - 伝統的居住文化の維持・保全と観光開発の共生に関する研究その 13-

    • 著者名/発表者名
      小倉剛、藤原佑樹、久木真代、北山めぐみ、平田隆行、藤木庸介
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 発表場所
      日本建築学会大会 東海
  • [学会発表] 歴史的文化資源の観光利用に関する研究・愛知県内東海道沿いを対象として - 伝統的居住文化の維持・保全と観光開発の共生に関する研究その 14-

    • 著者名/発表者名
      久木真代、藤原佑樹、北山めぐみ、平田隆行、藤木庸介
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 発表場所
      日本建築学会大会 東海

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公開日: 2014-07-24  

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