研究課題/領域番号 |
24500913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
野呂 千鶴子 園田学園女子大学, 健康科学部, 准教授 (20453079)
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研究分担者 |
中村 陽子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (00341040)
日比野 直子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 講師 (30340227)
城 仁士 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (40145214)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 災害復興 / 集落帰属意識 / 生活環境再生ニーズ / 高齢者 / 主体的な生の全う / 住み慣れた地域 |
研究概要 |
本研究は,災害被災地である高齢化が深刻な過疎地域住民の住み慣れた地域での生の全うをめざす災害復興支援生活環境モデルの提言を行うものであり、対象地域は,平成23年9月の豪雨災害被災地である紀伊半島南部である。まず文献・資料収集とアクションリサーチ研究の枠組み検討を研究代表者・分担研究者・研究協力者間で行い、その後下記研究活動を実施するとともに進捗管理を行った。(打ち合わせ・進捗管理会議6回) 1.対象地域ヒアリング調査:対象地域の自治体・保健所の保健師及び豪雨災害支援担当職員に当時の状況、その後の高齢者を中心とする住民の生活環境の変化についてヒアリングを行った。また、高齢者の生活を民間の視点で支援するNPO法人理事長やスタッフにも同様の聞き取りを行った。 2.モデル地域支援者へのヒアリング調査:モデル地域社会福祉施設施設長に対して、過去の災害からの復興や高齢化・過疎化進展の中での地域づくりの戦略・進捗状況・今後の課題についてヒアリングを行った。その中で24時間安心サポートシステムを過疎化の進む中でのコミュニティ再生の軸にしている取組みについて紹介を受けた。 3.対象地域住民代表へのインタビュー調査:自治会長、民生委員に災害時の状況、災害後の高齢者の生活、復興に向けた住民の思いについてインタビューを行った。また、被災地市町村主催の支援者研修会において、「支援者の心のケア」について講演を行った。 4.24年度調査結果については現在詳細を分析中であるが、検討会議において住民の生活満足度、地域づくりに関する住民の意識の実態についても把握する必要性を見出した。24年度の研究活動のまとめについては、25年10月に開催される日本公衆衛生学会に発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、モデル地域を過去に災害に遭った過疎地域4か所を選定していたが、分担研究者と検討の結果、研究活動に費やす時間等との関連からモデル地域を当初設定した条件を満たす物理的に近い環境にある自治体に変更した。24年度は、新たに設定した災害復興の取り組みを行ってきた過疎地域自治体において研究活動を行った。 対象地域に関しては、行政関係者に研究依頼を行い、快諾を得た。また、その後のヒアリングにおいても協力を得て情報収集を行い、住民代表のインタビュー調査も実施できている。 研究目的に対して、効果的な研究方法を研究者間で協議し、進捗管理の中で評価と改善を繰り返し、研究が成果あるものになるよう努力しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、対象地域住民の被災後の集落帰属意識と生活環境再生ニーズの経年的変化の研究を継続するとともに、対象地域およびモデル地域集落住民の生活環境再生ニーズと満足度の比較研究を実施する。 1.対象地域住民およびモデル地域住民の復興に対するニーズ・満足度の把握:対象地域およびモデル地域集落住民を対象に,「災害復興と生活環境意識調査」を実施し,住民の復興に対するニーズ・満足度を把握する(全員)。 2.モデル地域の「生の全う」するためのベストプラクティスの抽出:モデル地域集落リーダーや支援者を対象に「復興と住み慣れた地域に住み続ける意味」についてFGIを実施し,住み慣れた地域で復興再生し「生を全う」するためのベストプラクティスを抽出する(全員)。 3.被災後2年の集落帰属意識と生活環境再生ニーズの明確化:24年度同様に参加観察とインタビュー調査を行い,被災後2年の住民の集落帰属意識の変化と生活環境再生のニーズを明確にする(野呂,日比野,研究協力者)。 4.これらの結果を分析し、主体的な高齢者の「生の全う」をめざす災害復興支援生活環境モデルの試案作成に着手し、26年度のモデル提言をめざす。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.対象地域住民およびモデル地域住民の復興に対するニーズ・満足度の把握:質問紙調査用紙作成及び謝品等消耗品費、データー入力・分析補助用人件費 2.モデル地域の「生の全う」するためのベストプラクティスの抽出:調査旅費、調査協力者謝品等消耗品費、データ入力・分析補助用人件費 3.被災後2年の集落帰属意識と生活環境再生ニーズの明確化:調査旅費、プレゼンテーション用備品購入費、調査協力者謝品等消耗品費、データ入力・分析補助用人件費 4.主体的な高齢者の「生の全う」をめざす災害復興支援生活環境モデルの試案作成:会議費、旅費、通信費、学会発表用旅費 等
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