研究課題/領域番号 |
24500920
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
前田 亜紀子 群馬大学, 教育学部, 准教授 (00286692)
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研究分担者 |
山崎 和彦 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (00145161)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 風 / 送風機 / 抗力 / 3次元超音波風速計 / 空っ風 / 衣服内気候 / 皮膚温 |
研究概要 |
平成24年度前半(6~9月)は、群馬県前橋市において空っ風が発生しない時期(空っ風は風速9m/s以上、日最小湿度が40%以下が条件)であるため、平成26~27年度に予定している「空っ風における歩行、姿勢保持の観察」のための準備および基礎実験を実施した。 風の効果について実験するための送風機を購入した。この仕様は5枚翼(直径500mm)、吐出風速25m/s、風量280m3/min、三相200V、3.7kW(サンキテクノス製、LR-523)である。建物廊下を風洞にみたて、回転軸高900mmにおいて、送風機の排出口端を基準とする距離と風速の関係を観察した。距離1,5,10mにかける風速は直線的に低下し、各々25.3,15.5,6.5m/sであった。さらに、送風機からの風を整流にするため、合板を用いて羽板を組み込んだ枠を製作し、風速分布を観察した。距離5mにおける床高30cm毎180cm高までの垂直分布は人体が風圧を受ける範囲内において、均一化できることが確認された。羽根板を設けることで平均風速が低下する。送風特性が把握できたことから、抗力および抗力係数の評価を検討した。抗力測定装置3種を製作し比較した。被験者を台上に立位させ風を与える。この時、台に作用する水平成分の力を抗力とみなした。測定方法別の特徴を明らかになり、抗力が測定できることが確認できた。 平成24年度後半(10月~3月)は様々な風速を模擬できる送風機装置を作成し、人工気候室内で衣服内気候および皮膚温に及ぼす風の影響について観察した。この結果については平成25年6月の日本生理人類学会で発表する。2月には、3次元超音波風速計を購入し、3月から群馬県前橋市における空っ風の測定を開始した。気象庁における風速測定は2次元風速計が用いられているが、3次元超音波風速計によって突風の特徴を明確にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
空っ風の発生が冬季であるが、2月まで超音波風速計の購入機器の検討を行い、購入および納品が3月になってしまったことから、昨冬の風速測定が不足した。空っ風の条件の風速9m/s以上であれば、日最小湿度40%以下にならない日でも測定を実施し、突風および強風の特徴を3次元超音波風速計で明らかにすることで補いたい。また気象庁データを利用した突風発生日のデータを整理して、平成25年度の冬季以外の時期における測定に備える。 その他についてはほぼ予定通りであり、冬季の空っ風測定の不足を補えるよう、後年度に予定している実験の準備と実施を行った。
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今後の研究の推進方策 |
1)平成25年度5月までに、各種風速が及ぼす衣服内気候および皮膚温への影響の実験を行う。風だけでなく風雨条件下での影響も観察する。この結果については8月開催予定の国際学会(カナダ)で発表する。 2)風が人体に及ぼす抗力の測定から、被服に及ぼす影響との関係を送風機を用いた実験で明らかにする。これについても8月の国際学会(カナダ)で発表する。 3)群馬県前橋市における空っ風の測定とその特徴を明らかにする。防風対策の収集とその効果についても観察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
残額)1.3万、平成24年度の配分額を計画通り使用した結果、残額が生じたが、平成25年度の配分額と合わせて執行する予定である。設備備品費)①3次元超音波風速計計測用専用PC(中古で可)10万。被服類におよぼす風の影響を撮影するためのビデオカメラ5万。レーザープリンタ5万。風速計各種(風杯型2万、熱線式1万など)。消耗品)ビデオカメラ周辺機器(風の音録音、バッテリー等)3万。書籍5万。旅費)国内学会参加発表費用(4回×3万)。国際学会参加発表費用(カナダ1回×30万)謝金(実験被験者10名×4回×1000円=4万)。データ処理補助(2名×10日×2000円=4万)。その他)論文発行費5万。文献代1万。英文校正2万。
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