研究課題/領域番号 |
24500922
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
鳴海 多恵子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90014836)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 手指の巧緻性 / 幼児 / 幼稚園 / 学年差 / 男女差 |
研究概要 |
調査対象を3年保育を実施している幼稚園の3歳児46名、4歳児50名、5歳児49名とした。テスト項目は次の4種とした。①おりがみを四角に折る…15cm四方のおりがみを長方形に折るまでの時間と頂点間のズレ量を測定した。②マグネット移し…5個×8列の計40個のマグネットを利き手のみを使用して反対側のボードに移動させた。60秒以内にいくつマグネットを移動できるか、又は40個の移動できた時の時間を計測した。③ひもをとく・結ぶ…見本を見せた後、ひもをとく・結ぶにかかった時間を計測した。④ビーズ通し…1分間でビニールひもに通せたビーズの個数を計測した。4つのテストを実施するのに要した時間は一人約10分間である。結果の概要は以下の通りである。 1)幼児の手指の巧緻性の測定と実態 調査項目間の相関を検討した結果「ビーズ通し」は他の項目との相関性が高いことが確認された。「ビ-ズ通し」は先行研究において「糸結びテスト」の成績との相関性が認められていることから、今回の調査項目は手指の巧緻性の測定項目として有効と考えられた。発達の様相としては、すべての調査項目において学年進行と共に成績が上昇した。特に今回の調査対象では3歳児学年と4歳児学年、および男児について学年の差が顕著であった。男女差については、ほとんどの項目で学年に関わらず女児の成績が優位であった。しかし、男女差は学年進行とともに縮小する傾向があり、小学校以降の傾向と異なる様相を呈した。 2)幼児の手指の巧緻性の優劣と遊び等の特徴 子どもの特徴や遊びの傾向から、測定項目の成績の上位群には積極的で遊びを自ら提案・発展させる子どもが多く、下位群には言語の発達面で幼かったり用意された遊びの中に受動的に参加したり、1つの遊びに取り組む時間が短いなどの特徴が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象とした幼稚園の全面的協力が得られたこと、また、多数の調査協力者が得られたことにより、順調な測定活動が遂行できた。測定項目は3歳児から5歳児に対して無理がなく、また、学年差も把握でき、学年進行による発達の様相が確認できた。しかし、男女差についてはこれまでの小学校以降の研究結果から予測したものとは異なる様相を呈した。これが調査対象とした幼稚園の固有の特徴であるのか、幼児の本来的な発達様相であるのかについては新たな興味ある課題としてとらえられた。
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今後の研究の推進方策 |
2年次以降は、1年次に計測対象であった幼児を継続的に調査し、発達の縦断的な分析を行う。また、手指の巧緻性の優劣の発生要因について、1年次は担任教員の自由記述による所感を調査したが、更に明確な分析を行うために、幼児の特徴について尺度法による調査を行う。 小学校1年生から4年生に対応するために用いてきた「ひも結びテスト」を幼児に対応させることを検討し、これまでの小学校以降の手指の巧緻性に関する研究成果との関連を考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も幼稚園児の手指の巧緻性の計測活動を継続するために、計測補助者の謝金を中心として研究費を使用する予定である。 その他、幼児の遊びの様子を記録するために、高性能のデジタルカメラを購入する予定である。
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