研究実績の概要 |
下肢被服圧測定装置の開発において,本研究で作成した装置に靴下を履かせて従来の方法と比較したところ,靴下の素材によって両者間に差が生じた.これは市販の圧センサーの硬さが原因で,測定部位の曲率にセンサーが沿わず,浮きが生じたためと考えられる.現在市販中のセンサーでは最も適しているが,精度上に問題が生じた.そこでセンサーを含めた受圧部から開発する必要があると考えた. 従来のセンサーは,硬質ポリエチレン性の薄膜(厚さ18μm)の小袋に水を封入して調整し,分解能と応答速度の早いセンサーとなる.しかし,本研究では下肢マネキンを測定対象としているので,それ程早い応答速度は必要ない.また従来法の受圧部の欠点は,①高価,②現在廃盤,③破れやすい,④圧媒体が“水”なので,トランスデューサーとの高さを揃える必要があることである.①と②は受圧部を自作することでコストを削減した.③では受圧部を丈夫にするため,硬質ポリエチレン性の薄膜の厚さを40μmで作成した.これを従来法に組み入れ,板ガラスで挟み,その上に錘を載せる較正法を用いた.加えた圧負荷(X)とシステムの読み(Y)との関係は,受圧部内の封入量を調整すれば,Y=1.00X(R2=0.999)となり,良好な直線関係となった.しかし,水圧を用いた較正ではY=0.47X(R2=0.958)となった.両者は直線関係ではあるものの,出力値が半減した.被検体の硬さが一定であれば,これらのことは補正可能であるが,靴下の編み構造の差やマネキンの素材の厚さの差などの要因が測定誤差につながることが確認された.そこで現在,④に対しては,ポーチ内部に小型センサーを組み込んで水で封入することにより,トランスデューサーと受圧部の高さが同一となる受圧部を開発している.その他研究Ⅱの主観的適正圧に関しては2本の物性の異なるベルトを用いて,ほぼ適正範囲を洗い出した.
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