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2012 年度 実施状況報告書

乳児発汗シミュレータの開発 -乳児型発汗サーマルマネキンの開発を目指して-

研究課題

研究課題/領域番号 24500925
研究種目

基盤研究(C)

研究機関京都教育大学

研究代表者

深沢 太香子  京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90423574)

研究分担者 栃原 裕  九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (50095907)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード乳児 / 発汗 / 温熱環境 / 体温調節 / 不感蒸散
研究概要

研究初年度では,乳児の不感蒸散量および暑熱暴露時における発汗量のデータについて文献調査より収集し,液相発汗を再現する装置を設計・試作した.さらに,熱伝達は物質伝達と相似することから,将来開発を目標としている発汗サーマルマネキンの設計に役立つ知見を得るために,乳児の人体表面からの熱伝達特性に関して,ベビーサーマルマネキンより把握することとした.
乳児(0-1歳)の不感蒸散量に関する文献調査の結果,温熱的中性域下における乳児の発汗量は,全身:約10g/m2h,頭部:約20g/m2h,体幹腹側:約5g/m2h,体幹背側:約8g/m2h,上肢(前腕と上腕):約11g/m2h,手:約8g/m2h,下肢(大腿と下腿):約7g/m2h,足:約8g/m2hであった.そこで,研究次年度において製作する気相発汗を模擬する装置には,これらの不感蒸散量を再現することとする.
暑熱環境下における乳児の発汗量に関するデータはほとんどない一方,幼児の発汗量に関するデータを文献より収集することができた.それらより,乳児の発汗量は,発汗による体温調節が未発達である幼児と同様に,最大で不感蒸散量の8倍に達すると仮定して,最大で80g/m2hの液相発汗を模擬可能な装置を設計し,試作した.模擬皮膚上に拍出された液相発汗は,無効汗として存在することなく,短時間で蒸発したことより,試作した本装置は,乳児の発汗機能は未発達であることを忠実に再現できることが確認された.
乳児における体表面からの熱伝達特性について,ベビーサーマルマネキンを改良して測定した.その結果,乳児における下肢や上肢の熱伝達率は,体幹や頭部よりも著しく大きいことが明らかとなった.さらに,自然対流下での全身および人体各部位における対流熱伝達率は,成人よりも大きい値を示したことから,乳児は成人よりも放熱しやすいことが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画とおりに,乳児の発汗を再現した液相発汗模擬装置を作製することができた.

今後の研究の推進方策

乳児の不感蒸散を再現した気相発汗模擬装置を作製し,装置の再現性について検証する.さらに,気相と液相の両方を再現する装置の作製にも着手する.

次年度の研究費の使用計画

研究実績概要にも記したとおり,本年度,液相発汗を再現する装置を試作した.試作であることから,既所有の機器および材料を活用して製作した.ただし,試作装置からの液相発汗蒸発量を測定する高精度電子天秤を本年度に発注したが,海外製品であることと納品が遅れたため,研究次年度の研究費として計上されることとなった.なお,本年度の研究では,同等の高精度電子天秤を代用品として借用して,実験を実施した.
本年度の研究においては,乳児の体表からの放熱現象を把握するために,ベビーサーマルマネキンを改造して測定に用い,その専用架台を特別作製した.その改造および専用架台作製費用については,支払いが研究次年度に行われることとなったため,研究次年度の研究費として計上されることとなった.
研究次年度においては,乳児の不感蒸散を模擬するために,角質層からの水分蒸発を再現する装置を試作する.そこで,角質層からの水分蒸散の模擬に最適な多孔質板を,模擬皮膚として選定し,加工を専門加工業者へ依頼する.模擬皮膚とした多孔質板を加温し,さらに温度を制御する機器を導入する.一定温度に維持された微量の水分を多孔質板へ供給するために,温度および供給量を調整できる精密液体用ポンプを導入する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 3件)

  • [学会発表] Thermal resistance of infant's clothing ensembles measured using a baby thermal manikin2012

    • 著者名/発表者名
      Takako Fukazawa, Yutaka Tochihara
    • 学会等名
      The 9th International Meeting for Manikins and Modeling
    • 発表場所
      早稲田大学(東京都)
    • 年月日
      20120821-20120824
  • [学会発表] 九州大学大学院 芸術工学研究院におけるサーマルマネキン研究史

    • 著者名/発表者名
      深沢 太香子,栃原 裕
    • 学会等名
      建築学会 サーマルマネキン・人体WG
    • 発表場所
      九州大学(福岡市)
  • [学会発表] 身体活動量と温熱的快適性評価

    • 著者名/発表者名
      深沢 太香子, 邱 艶暁
    • 学会等名
      2012年度第34回(通算90回)日本家政学会関西支部研究発表会
    • 発表場所
      奈良女子大学(奈良市)
  • [学会発表] 温熱的快適性における性差・人種差

    • 著者名/発表者名
      深沢 太香子
    • 学会等名
      公益社団法人自動車技術会 2012年度第5回車室内環境技術部門委員会
    • 発表場所
      五番町センタービル(東京都)
    • 招待講演
  • [学会発表] 健康の条件

    • 著者名/発表者名
      深沢 太香子
    • 学会等名
      日本家政学会被服衛生学部会科研費研究成果公開講座 衣服と健康の科学,最前線 ーここまでできる,衣服の力を考えるー
    • 発表場所
      兵庫県民会館(神戸市)
    • 招待講演
  • [学会発表] The thermal manikin; a useful and effective device for evaluating human thermal environments

    • 著者名/発表者名
      Takako Fukazawa, Yutaka Tochihara
    • 学会等名
      International Symposium on "Ergonomics and Physiological Anthropology in Thermal Environments"
    • 発表場所
      九州大学(福岡市)
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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