研究課題/領域番号 |
24500929
|
研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
金子 友美 昭和女子大学, 生活科学部, 准教授 (80204569)
|
キーワード | 路地空間 / 都市 / 建築計画 / 生活環境 |
研究概要 |
平成25年度は2回の現地調査を実施した。9月ベルリン・ライプツィヒ・ドレスデン・プラハ・ミュンヘン・ザルツブルク・ウィーンと、平成26年3月のバルセロナ・パリである。 【ベルリンのホフ、ヘーフェ(3事例)】旧東ベルリン地区の中庭型の空間で1階は商業施設となっていた。【ライプツィヒのパサージュ及びホフ(15事例)】小さな旧市街の中に数多くのパサージュや中庭空間がある。歴史あるパサージュが拡張され現代的な空間と連結している事例もあった。【ドレスデンのクンストホフ・パサージュ(1事例)】新市街の中庭利用でアーティスト達のデザインによる店舗・壁面装飾が見られた。【プラハのパサージュなど(17事例)】旧市街中心部には比較的小規模な事例が多く、中心部から少し離れると大規模なものもあり内部は複合施設となっていた。【ミュンヘンのパサージュ、ホフ(31事例)】古い歴史を持つ中庭空間や現代の建築家によってデザインされた空間が見られた。【ザルツブルクの通り抜け路地(15事例)】旧市街のゲトライデ通りから南北に抜ける路地空間事例でそのほとんどは店舗やレストランであった。【ウィーンの中庭と通り抜け路地(24事例)】リンク(環状道路)の外側では集合住宅の中庭で大規模な例が見られた。一方リンク中心部では比較的小規模でパウラッチェ(中庭に面した回廊)の付いた例などがあった。【バルセロナのハルディン(中庭)など(18事例)】アイシャンプラ地区の街区内側の中庭空間の利用として、多くは公園的に使われていた。【パリ東部フォブール・サンタントワーヌ通り近くの中庭(9事例)】複数の中庭が連続するものや、通り状のもの、途中分岐があるものなど形状のバリエーションが見られた。 H25年度は様々なバリエーションの数多くの事例を調査することができた。H24年度調査済事例と合わせて作図を進め、分析の基礎資料作成を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は、都市のオープンスペースが果たす役割と効果について、現状空間の評価を通して明らかにすることである。対象とするオープンスペースは街区内に形成された路地空間としている。H25年度は2回の現地調査を実施することができ、さらに数多くの事例の調査を行うことができた。事例の収集という点においては、順調に進展していると言える。これらは現在分析の基盤となる作図作業を進めているが、数が多いことや都市によって入手できる資料の精度に差があることから、図面化についてはやや難航している部分もある。さらに都市により、集めた事例に数や範囲で偏りもありその扱いについては、今後の検討課題となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
H26年度は本研究の最終年度となることから、事例の空間分析と研究のまとめを中心に行いたい。ただしあわせて調査済事例の見直しも行い、必要であれば補完調査を実施したいと考えている。多くの都市では、その中心部あるいは対象エリアの事例をある程度網羅することができたが、H24年度に調査を実施したヴェネツィアのソト・ポルテーゴについては、島全域に分布しており調査が実施できた事例はごく一部となっている。これはある程度まとまった範囲を緻密に調査することで空間の特徴を把握したいと考えたためであるが、可能であれば補完調査を実施したいと考えている。 研究のまとめとしては、作図データをおよび現地での調査情報もとに評価項目を設定し、類型化を試みる。その類型化の指標を見いだすことが、本研究の成果となると考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
2014年3月中旬から下旬にかけて実施したバルセロナ・パリの調査費用精算のため。 平成26年3月のバルセロナ・パリの出張精算に充てる。
|